
国立科学博物館の特別展「深海2017~最深研究でせまる”生命”と”地球”~」に行ってきました。
前からずっと行きたかった特別展なんですよね。最近、地震やら何やらで日本近海の海底調査が進んでいるって聞いていたので、どういう研究が進んでいるのか非常に興味がありました。
7月から始まってる特別展で、10月1日(日)まで開催しています。もうすぐ終わるじゃん。危ねぇ〜。
秋になって校外学習の季節らしく、平日にも関わらず、上野公園には団体の小中学生の姿も見えました。なんか学校から課題が出ているらしく、懸命にメモをとりながら展示を廻っていました。
やったなぁ、こういう校外学習。
メディアなどでも紹介されている特別展ですが、ほとんどの人が「深海魚展」だと思ってるんですよね。おどろおどろしい深海魚に期待して来る人が多いみたい。最近、「へんないきもの」だの「ダイオウイカ特集」だの変なブームのせいで、深海魚を恐いもの見たさで珍しがる風潮があるような気がします。
ま、この特別展もそういう世の動向を十分に把握した陳列になってはいました。
展示は主に「深海魚」「地質調査」「地下資源」に分かれています。やっぱり一般受けしやすいのは深海魚のコーナーのようで、いちばん最初にもってきてお客さんを引きつけています。深海魚のコーナーはさらに「発光生物」「巨大生物」「超深海生物」に分かれています。世のニーズをよく分かっておる。

ベニオオウミグモ。いっちょまえに肺呼吸するんだって。
頭が透明な深海魚、デメニギスの標本。
発光するそうだが何のために。

ダイオウホウズキイカの足だけ。全長は14mもあるんだって。
僕が今回、特別に興味あったのはそこではなく、最近の日本をとりまく深海環境に対する調査の進捗状況です。この特別展は、別に深海魚だけではなく、近年の日本の深海に関するあらゆる調査の成果を公表する目的で行なわれています。地政学的、地質学的、材料工学的、海洋生物学的、さまざまなアプローチの仕方で「深海」を研究して公表しています。
頭が透明な深海魚、デメニギスの標本。
発光するそうだが何のために。

ダイオウホウズキイカの足だけ。全長は14mもあるんだって。

これこれ。こーゆーのが見たいの。
世界最深撮影に成功した4Kカメラ。NHKスペシャルの映像にも使われてましたよね。

日本は地震が多いので、地殻変動が地震に及ぼす影響を調べる必要性が高い。2011年の東日本大震災でも、日本近海の地勢は大きく変化した。その変化がどのようなものか、どういう原理で変化したのか、どの程度変化するのか、それを実際に調べる必要がある。
また、日本近海の地下資源の開発は、資源を大きく輸入に依存している日本にとっては喫緊の問題だ。日本は国土面積こそ世界で62位だが、排他的経済水域を含む領域面積にすると世界で6位という広大な水域を範囲としている。中国や韓国が領海侵犯まで犯して領土拡張を目論むのは、それらの国の水域が日本列島によってかなり制限されているからだ。そういう環境にある日本が、海底からレアアースをはじめとして地下資源を確保する重要性が増している。
僕としては今回の展示の大きな目玉は、地球深部探査船「ちきゅう」の掘削記録が見られることだ。
2005年に就航した、海洋研究開発機構が誇る世界最大の科学採掘船。巨大な「海の研究所」だ。2011年の東日本大震災のあと、すぐに「東北地方太平洋沖地震調査掘削プロジェクト」(Japan Trench Fast Drilling Project, JFAST)が始動した。海底採掘を行なって地殻変動の影響を調査し、そのときの記録が公開されている。
「ちきゅう」は、東北地方三陸海岸沖の、北米プレートと太平洋プレートの境目となる日本海溝を掘削した。海上から海溝底までは約7000メートル。そこから約800メートルを掘り下げ、地質調査を行なっている。
つまり「ちきゅう」は、海面から海底まで、富士山ふたつ分の長さの掘削パイプを下し、そこからさらに800メートルを掘り下げたことになる。24時間態勢で地質サンプルを摂取し、すぐに船内の研究区画に運ばれ、即時分析される。まさに「海の研究所」だ。
海底資源についても調査結果が公開されていた。日本が近海資源として重視しているのは、石油とレアアースだ。特にレアアースは「21世紀のダイアモンド」とも呼ばれ、コンピュータ産業に欠かせない希少鉱物の奪い合いが世界中で行なわれている。
日本は現在、レアアースのほとんどを中国からの輸入に頼っている。中国は本土でレアアースが採取される以外に、レアアースの宝庫であるアフリカ各国に眼をつけ、設備投資をじゃんじゃん行なって利権の独占を計っている。最近、アフリカ各国と中国の結びつきが強いのはそのためだ。日本も、中国との貿易関係に対してチャイナリスクを意識し、単独でアフリカ各国との貿易に着手している。
2011年、東日本大震災のための近海底調査の副産物として、太平洋の広範囲にわたってレアアースが濃集した深海泥の分布していることが判明した。日本の排他的経済水域には、メタンハイドレート、熱水鉱床、マンガンクラスト、レアアース泥などが分布していることが分かっている。その調査結果が公開されていた。

日本でも石油とれるって知ってました?

中学生にはちょっと分子構造は難しいかな
楽しかったです!o(≧∇≦)o


















