
<ポーランド>元ナチ告白グラス氏に反発 名誉市民はく奪も
戦後ドイツを代表するノーベル文学賞作家のギュンター・グラス氏(78)がナチス・ドイツのヒトラー親衛隊の軍事部門(バッヘンSS)に所属していたことを告白した問題で、ナチスに最大の被害を受けた隣国ポーランドが反発している。右派与党「法と正義」は同氏の出身地であるグダニスク市の名誉市民号はく奪を要求しており、同市議会が31日にはく奪の是非を協議する。ワレサ元大統領もグラス氏を批判するなど、告白が両国関係に影を落としている。
グラス氏は旧ドイツ領だったグダニスク(旧ダンチヒ)生まれ。冷戦時代に両国関係改善を訴えたことから名誉市民号を贈られた。しかし、反ドイツ姿勢を鮮明にして人気を集めている「法と正義」は「ナチ親衛隊だった者に栄誉は与えられない」とはく奪要求を突き付けている。
グダニスクは共産主義政権時代に民主化運動を始めた自主管理労組「連帯」の発祥の地であり、同労組を発足させたワレサ元大統領もグラス氏に釈明を求めた。グラス氏は22日、グダニスク市あてに手紙を出し「黙っていたことは誤りであり、断罪されるだろう。多くの市民が名誉市民号に疑いを持つのを受け入れざるを得ない」と謝罪した。
同市議会は31日の臨時議会で名誉市民号はく奪問題とともに謝罪書簡について協議する予定だ。市民の72%ははく奪には反対しているが、与党はグラス氏批判をゆるめていない。秋に地方選を控え、与党が反ドイツ機運を盛り上げることで人気とりを図っている側面もあるようだ。
グラス氏は自伝「タマネギをむきながら」の発売を前にした独フランクフルター・アルゲマイネ紙のインタビューで、17歳の時に親衛隊軍事部門に入り、戦車部隊に配属された過去を明らかにした。同氏は小説「ブリキの太鼓」などで知られ、99年にノーベル文学賞を受賞した。
参考:「元ナチス」告白、グラス氏窮地 ノーベル賞返還要求も
別に「元ナチス親衛隊員であること」と「現在ナチスを批判していること」は矛盾しないと思うのだが。
なんにせよ、ポーランド与党の反応は理性的な判断よりも政治的な意図が働いている模様。政党の人気とりのために他国を非難してナショナリズムを高める、という手段は、政治にとって本質的な手段ではないと思う。なによりも、国民の、他国に対する客観的な視点を損なう。




