毎日新聞「余録」
2016年7月26日
僕が大学時代にフランス語を習った先生。懐かしいなぁ。
授業シラバスが白紙だったり、演習中にフランス産のワインを飲ませてくれたり、一風変わった先生だったけど、すごく実力があって話が面白い先生だった。
「昆虫好き」なんて紹介してあるけど、この先生、日本昆虫協会の会長だったんだけど。
2016年7月26日
仏文学者で昆虫好きとして名高い奥本大三郎さんは、小学校2年生から約3年間、股関節カリエスで寝たきりの暮らしを強いられた。そんななかでも窓辺に花の鉢を置き、蜜を吸いに来る虫をベッドから網を伸ばして捕らえていたという
回復後は鉄と革製のコルセットをつけたまま昆虫採集に熱中、6年生の夏休み明けにためていた標本箱を学校に持っていく。しかし級友や先生には足の悪い奥本少年にこんな立派な標本ができるはずがないと白い目で見られてしまった(柏原精一(かしわばらせいいち)著「昆虫少年記」)
その昔は学校の夏休みの課題といえば昆虫採集だった。だが、今や「気持ちが悪い」の声で学習ノートの表紙から昆虫の写真が一時消滅する時代である。とはいえ今も、野山に虫を追い、捕らえて標本にしたり、強いカブトムシを育てたりする昆虫少年も健在である
人には生き物を集め、仕分けし、育てる習癖があるようだ。どうやらその欲求を現実と仮想世界が融合したスマホの画面で満たそうというポケモンGOらしい。米国では国内で発見できる全モンスターを捕獲したという男性の話をCNNが伝えるありさまだ
日本でも車のながら運転の事故や検挙者が出て、高速道路への侵入者もあった。運転は論外で、弱者を巻き込む歩きスマホ禍や、熱中する子どもの事故もやはり心配だ。往年の虫捕り少年には大人も子どもも入り乱れて捕虫網を手に町をうろうろする様が思い浮かぶ
昆虫採集の夏休みから世上騒然の仮想モンスター集めの夏へ。時代は様変わりしたが、休み明けにそろう子どもらの元気な笑顔は昔も今もかけがえがない。
僕が大学時代にフランス語を習った先生。懐かしいなぁ。
授業シラバスが白紙だったり、演習中にフランス産のワインを飲ませてくれたり、一風変わった先生だったけど、すごく実力があって話が面白い先生だった。
「昆虫好き」なんて紹介してあるけど、この先生、日本昆虫協会の会長だったんだけど。
自分の熱中していることをすごく楽しそうに話す先生だった。