ラグビーのワールドカップが、9月9日に開幕します。
今日はそのプレビューをば。


<予選ラウンド>

POOL A
ニュージーランド
フランス
トンガ
カナダ
日本

POOL B
アルゼンチン
イングランド
スコットランド
グルジア
ルーマニア

POOL C
オーストラリア
アイルランド
イタリア
ロシア
アメリカ合衆国

POOL D
南アフリカ共和国
ウェールズ
フィジー
サモア
ナミビア


優勝候補は、ぶっちぎりでニュージーランド(オールブラックス)だろう。
開催国であるのみならず、ここ数年のNZの強さは群を抜いている。去年のトライネイションズ(NZ, オーストラリア、南アの3カ国対抗戦)でも、6戦全勝のぶっちぎりで優勝した。
FW, BKともに戦力が充実しており、代表選手の平均キャップ数38と経験値も高い。じっくり時間をかけて、周到に用意しているチーム、という印象がある。


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NZのキーマンは、キャプテンのFL, リッチー・マコウ。
キャップ数97。走力、技術、フィットネスのすべてに優れ、マイボールの確保が非常に上手い。リッチー・マコウがサイドアタックを請け負うようになってから、オールブラックスはラックからの球出しが格段に速くなった。相手ディフェンスラインが下がり切らないうちにSHがスムースに球を出せるので、相手ディフェンスはオフサイドにひっかかる。敵陣でこれが決まれば、PGから確実に3点が取れる。
ディフェンスでも、単独で敵の独走を止める力がある。攻撃でも守備でも、試合の流れを支配する動きができる希有な選手だろう。



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NZが危機に陥るとしたら、SOのダニエル・カーターが負傷離脱した時だろう。現在のオールブラックスは、唯一このポジションだけ替わりが効かない。
伸びのあるパスと長短を織り交ぜたキックを組み合わせて、オールブラックスの俊足BK陣を自在に指揮する司令塔。もともとオールブラックスはバックスの展開力は常に参加チーム1の機動力を誇る「走るチーム」なので、ダニエル・カーターのゲームメイクが重要になってくる。"キング" カルロス・スペンサー以来の名SOが光臨した観がある。
 

NZには、開催国という以外に、負けられない理由がある。
日本の東日本大震災の影に隠れてしまったが、NZもクライストチャーチを中心に大震災に見舞われている。荒廃した復興をかけ国民を勇気づける使命を帯びているのは、日本だけでなくNZも同じなのだ。先のサッカー女子W杯でなでしこJAPANが神懸かり的な強さを見せたのと同じ理由で、NZも今回のW杯で神懸かり的なプレイを連発するかもしれない。

そのオールブラックスと予選で同組になった日本は、悲運としか言いようがない。
以前にW杯で日本がNZと対戦したのは、1995年の予選プール。145対17という記録的大敗を喫した。相模一高 vs 川浜高校の比ではない。
あれから16年。間に3回のW杯を挟んで、日本がどのくらいNZに粘れるか。

日本代表監督は、元オールブラックスWTBのジョン・カーワン。第1回W杯の優勝メンバーのひとりだ。
僕がラグビーを始めた頃、同じWTBのカーワンのプレイを何度もビデオで研究して、そのプレイスタイルを真似しようとしたものだ。
今回、カーワンは日本代表監督の立場で、母国NZ代表と戦う。ともに祖国の復興をかける国同士の戦いで、どういう戦術をとるのか注目。

おそらく順当にいけば、NZと戦うのは、準決勝が南アフリカ(スプリングボクス)、決勝がオーストラリア(ワラビーズ)だろう。両チームとも、予選プールを首位で通過するのはほぼ間違いなかろう。
南アフリカは、今年2011年のトライネーションズ第2戦(8月20日)で、NZに勝っている。その時のスコアは5-18。徹底的にボールを封じて密集戦を選択し、しつこいほどのディフェンスで食い下がり、オールブラックスの機動力を抑えてロースコアの戦いに持ち込んだ。オールブラックスは、外のWTBまでボールが廻れば、間違いなくトライまでぶっちぎられる。だからFW勝負の密集戦でボールの動きを殺すしかない。おそらく、他のチームもNZ対策として同じ作戦をとってくるだろう。

オールブラックスとしては、バックロー(両FL, No.8)のサイドアタックでできるだけ相手BKのディフェンスを巻き込み、外側を余らせる正攻法を採りたいところ。
ということは、NZのサイドアタックはまっすぐ横をついてくるのではなく、斜め加減にSOを狙って突っ込んでくる展開が多くなると思う。NZと戦うチームは、良くてFL, No.8まで、悪くてもSOまででサイドアタックを止めないと、オールブラックスのBK陣にいいように走られてしまう。だからといって極度にサイドアタックに備えるあまり、No.8とSHが前線につきっきりになると、空いた背後をダニエル・カーターのキックで狙われる。今回のオールブラックスは、相当にディフェンスしにくいチームになりそうだ。

NZ, 南ア、オーストラリアの3強のほかに不気味なのは、POOL Bにポットされたイングランド。2003年大会の決勝戦、試合終了直前に伝説の決勝ドロップゴールを決めたジョニー・ウィルキンソンの引退大会になるだろう。ウィルキンソンのドロップゴールは強力な飛び道具なので、時間帯によってはイングランドは徹底してFWの中央勝負を仕掛けてくる。相手に反則があればPGで3点、球が出ればDGで3点だ。どっちにしても反則にビビって相手ディフェンスの出足が遅くなる。そうなったらイングランドの思う壷だ。攻撃の際、キックするのか廻すのか、SOの判断力が大きく試合の趨勢を分けるだろう。

ドロップゴールといえば、2007年大会でNZにまさかの敗北を味わせたフランスが、今回POOL AでNZと同組になっている。2007年の準々決勝でフランスが20-18の僅差でNZを振り切ったときも、作戦はドロップゴールだった。後半戦の中盤、立て続けにドロップゴールを決め、試合のリズムを掌握した。NZとしてはかなり嫌な相手だろう。むしろNZとしては、決勝トーナメントでフランスであたるよりも、予選プールでフランスとやっておいたほうが、験がいいかもしれない。

イタリアも面白い。今年3月にはフランスに勝つ金星を挙げた。POOL Cはほぼオーストラリアとアイルランドで決りだとは思うが、イタリアがわけのわからない強さを見せてアイルランドをまくってしまう可能性がある。基本的にはBK展開のチームだとは思うが、いかんせんSOに人材がいない。パワープレイでは互角に張れるとしても、ゲームの組み立てでは試合巧者のアイルランドにはまだまだ及ばないような気がする。いい意味で予想を裏切ってほしい。

POOL Aは、地味ではあるが、トンガとサモアの同組対決がひそかな注目だと思う。この2国は、大会で当たるたびに総力を挙げた死闘を繰り広げる。作戦もへったくれもない、意地と意地の張り合いのようなぶつかり合戦は、「もともとラグビーってこういうゲームだったんだろうな」という気にさせてくれる。


個人的にはずっと応援しているNZ・オールブラックスが一押し。日本代表が戦うときには、両方応援しよう。今回の大会では、日本もNZも、勝つため以外に戦う意義がある。気合の入った戦いを見せてほしい。



スカイパーフェクTVを導入してる俺は勝ち組。