「靴の上にはくのに、なんで『靴下』って言うんですか?」


きのう、留学生に質問されたんですがね。
誰もが一度はもったことのある疑問じゃないかなと思うんです。
僕もちょっと気になったので、辞書や事典の類いをひっくり返して調べてみました。



ふつう「下」といのは、地面から垂直に上下関係を言う場合に使う。
このように「低い位置」という観点からすると、位置上では靴の「上」にはくのに「靴下」はおかしいじゃないか、ということになる。

しかし「下」は、「外側と内側があるうち、内側のほう」という意味があるらしい。
「下着」というのは、下半身に着るもののことではない。上半身に着るものでも「下着」という。これは、「内側に着るもの」の意だ。
逆に、「上着」というのも「上半身に着るもの」ではなく、「外側に着るもの」という意味になる。
着物でも、外側に締める帯を「上帯」、内側に締める帯を「下帯」という。

異性に対して何かエッチなことを企てることを「下心」というが、本来は「表に見える気持ちの、内側に隠れた気持ち」という意味。エロいこととは何の関係もない。「下」という言葉と、その言葉がよく使われる状況から、「下」=「下半身」という語源だと勘違いする異分析がまかり通ったんだろう。


靴下はもともとポルトガルから流入したが、ポルトガル語の「meias」が訛って「メリヤス」と言われていた。日本語での「メリヤス」は「綿糸や毛糸などを編み込んだもの」の意味だったが、江戸時代には「メリヤス」とは靴下そのものを指すことばだったらしい。
ちなみに日本ではじめて靴下をはいたのは水戸光圀公だったそうな。旅に重宝したのかな。

「靴下」をあれこれ調べたついでに拾った、ちょっとしたトリビア。



「上靴」の反対がなんで「下足」なんだろう