ルーベンスの二枚の絵を実際に見てみたい。



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Raising of the Cross

Peter Paul Rubens (1577-1640)
Antwerp Cathedral, Belgium

(『キリスト昇架』ルーベンス アントウェルペン大聖堂(ベルギー))


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The Deposition

Peter Paul Rubens (1577-1640)
Antwerp Cathedral, Belgium

(『キリスト降架』ルーベンス アントウェルペン大聖堂(ベルギー))



この2枚の絵は、アントウェルペン大聖堂で一対の絵になっている。「フランダースの犬」のネロ少年が一目見たいと願い続けた絵だ。ある雪の夜、ネロはパトラッシュと一緒にこの絵を見ながら死んでいく。

中世の絵画は、聖書や神話に題材を取っているものが多い。ただ漫然と絵を眺めるのではなく、そのシーンがどういうストーリーが展開している場面なのかを知っていると、絵を見る楽しさが格段に増す。正直な話、僕が聖書や神話を読む理由の大部分は、絵画を見る楽しみのためだ。

僕がよくやる絵の鑑賞のしかたとして、場面ごとのテーマ別にいろんな絵画を比べてみる、というのがある。旧約だったらダビテ対ゴリアテ、サムソンとデリラ、新約だったら受胎告知、最後の晩餐、ピエタなどが数多い。ちなみに僕の好みのテーマはバテシバ、スザンナ、サロメ。エロいとか言うな。

特に新約聖書のなかのキリストの処刑を描いた作品は数多い。それこそ星の数ほどある。どの教会に行っても、十字架刑の絵くらい一枚は飾ってあるのではないか。

あくまで僕の好みと主観だが、そういったキリスト処刑の絵画のなかで、このルーベンスの二枚の絵はぶっちぎりでレベルが違うと思う。他の十字架刑の絵を見ても、「上手い」とは思っても「凄い」とは思わない。でも、このルーベンスの絵は真実、度肝を抜かれる迫力がある気がする。絵画集やブックレットを見ても迫力が伝わってくるくらいだから、実物を見たらいかほどのものだろう。

「キリスト降架」でイエスの足を支えているのはマグダラのマリア。体を支えている赤い衣の男は聖ヨハネ。手を差し伸べている青い服の女性が聖母マリア。教会史の本を読んでこういう人たちがどういうキャラクターなのかを知っていると、絵画を見る時に思うところがまた違ってくる。たまにはそういう教養も悪くないかな。

ときに、アントウェルペン大聖堂の紹介ページで、「日本人のみなさんにとってはルーベンスのこの絵は必見!ネロとパトラッシュの、あの絵ですよー!」みたいに描いてあるのはいかがなものかと思うのであるが。

Thanks!