フランス語で愛を語り、
ドイツ語で神を説き、
英語で演説し、
ロシア語で馬を叱る

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シェークスピアを一番理解しているのはどの国か、というわけで 各国それぞれが得意とする分野でシェークスピアを表現することになった。

アメリカは、数億ドルをかけて映画化した。
フランスは、前衛的な舞台を作り上げた。
日本は、アニメにした。
イタリアは、高らかなカンツォーネを歌った。
ドイツは、作品中の人物の行動様式を数式にしてみせた。
中国は、場面の一つ一つを米粒に描いた。
スペインは、何故かはわからないが牛と戦った。
韓国は、シェークスピアは韓国人であると論じた。

イギリスは、それら全てを批評した。

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ある船に火災が発生した。船長は、乗客をスムーズに海へ飛び込ませるために

イギリス人には 「紳士はこういうときに飛び込むものです」
ドイツ人には 「規則では海に飛び込むことになっています」
イタリア人には 「さっき美女が飛び込みました」
アメリカ人には 「海に飛び込んだらヒーローになれますよ」
ロシア人には 「ウオッカのビンが流されてしまいました、今追えば間に合います」
フランス人には 「海に飛び込まないで下さい」
日本人には 「みんなもう飛び込みましたよ」
中国人には 「おいしそうな魚が泳いでますよ」
北朝鮮人には 「今が亡命のチャンスですよ」
大阪人には 「阪神が優勝しましたよ」

と伝えた。

船員「船長!まだ韓国人が残っていますが!」
船長「ほっておけ。」
船員「なぜですか!」
船長「生き残られると迷惑だ。服が濡れたと賠償請求されてしまう。

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フランスは国土のほぼほとんどが平地である。非常に見晴らしがよいため、昔からフランス人は危険を目で察知していた。そのため、フランス人は色彩表現がゆたかな民族となり、絵画が発達した。言語としてのフランス語の文法は平坦で、全体像の見晴らしがしやすい。

ドイツは、グリム童話に描かれているように、国土の大半が鬱蒼とした森に覆われているという。森の中で暮らすドイツ人は、音で危険を察知していた。そのためにドイツ人は聴覚に優れ、優れた音楽家を多数輩出する国となった。言語としてのドイツ語は、迷いの森のように複雑怪奇な文法を擁するが、オペラや朗読などで鑑賞するに非常に美しい旋律を醸す音をもつ。

ロシアは一年の大半を凍った国土に覆われるため、内にこもって思索の世界で飛翔する術を発達させた。そのため、小説、演劇、音楽、思想など、ロシアのものは何でも長い。言語としてのロシア語は、凍る気候で他言語と交わることが少なかったため、昔のラテン語の特徴がそのまま保存されている。

イギリスはヨーロッパを望む島国でありながら、貧弱な土地、霧に覆われる気候のため、生き生きとした文化が発達しにくい土壌にある。そのため、他の国の文明を略奪して廻る以外に文化を築く方法を持たなかった。その大半は今も大英博物館に安置されている。良心的な人々による自らの文化を築く営みは鬱屈した気候によって抑圧されるため、思わぬ爆発力をもって世界にショックを与える突然変異的な衝撃をもたらす。音楽の概念を変えたビートルズ、肉感、官能的な体型が趨勢を占めるファッション界に、40キロ台の細身にミニスカート・セーターだけを巻きつけて登場したモデル・トゥイッギー、世界のファンタジー出版地図を一変させたハリー・ポッター。言語としての英語は、世界中を点々と伝播することによって擦り切れ、古代の文法がほとんど消えて無くなっている。

アメリカは過去を持たない国だ。過去に見るべきものがないので、意識は常に未来に向かっている。今までがどうなのかよりも、これからがどうなのかを重視する。その実、従うべき伝統を持たないというコンプレックスがあるため、大体のアメリカ人は実は保守的だ。ディズニーのアニメは、完全なオリジナルの話はなく、すべて既存の物語の焼き直しである。他民族からなる複合国家であるため、民族間の思考の唯一の共通項である「論理」を徹底的に重視する。

日本は狭い国土、海に囲まれた土地で逃げ場がないために、お互いの顔色を伺いながら共存する和の文化が生まれた。既存の価値の破壊は安定した感覚を脅かすものとして排斥される。関係によって個が確立するため「恥」という道徳律が生まれた。人の目があるか否かが決定的に重要であり、日向と影、表と裏、本音と建前が激しく異なる。人生において快楽を悪と考え、苦難を耐え忍ぶことを美徳とする道徳律が潜在的に支配している。ゆがんだ平等感から個人間で差が生じることを嫌い、出る杭を徹底的に叩く。「調子に乗るな」という言葉はいかなる言語にも翻訳不可能。「正しいことが良いこととは限らない」ということに気付いている、世界唯一の民族。