たくろふのつぶやき

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裁判員制度の形骸化

「死刑判決の破棄 裁判員に無力感を与える」
(2020年2月3日 産経新聞社説)


最近、韓国や中国の動向がやかましく、保守系の新聞として国際問題を論じることが多かった産経新聞が、珍しい社説を載せている。一般人によって構成される裁判員の判決を職業裁判官が否定し、事実上裁判員制度が形骸化していることを批判した社説だ。時期を同じくしてこの件を社説で論じた全国紙は他に無く、産経新聞だけがこの件をとりあげている。

産経新聞が具体例として挙げているのは、兵庫県洲本市で平成27年3月、男女5人を刺殺したとして殺人罪などに問われた被告の控訴審判決。1審神戸地裁の裁判員裁判の判決では求刑通り死刑としたが、大阪高裁はこの判決を破棄し、無期懲役を言い渡した。

裁判員裁判の死刑判決を控訴審が破棄したのは7例目であり、5件は最高裁が控訴審判決を支持して確定している。
洲本の事件で1審と2審の判断が分かれたのは、被告の責任能力の評価による。1審では2人の担当医の鑑定結果を検討して完全責任能力を認めたが、高裁は職権で3度目の鑑定を実施し、この結果から心神耗弱を認定して刑を減じた。被害者遺族の一人は代理人弁護士を通じ、「1審の判断を否定して被告人を守ることは、裁判員裁判の趣旨を台無しにするものと思います」とコメントした。

裁判員裁判の判決は、原則として裁判員6人、裁判官3人の合議で行われる。法解釈や判例の判断については裁判官から十分に説明を受けることができる。決して裁判員のみによる感情に任せた結論が導かれることはない。


産経の報道が正しければ、2度にわたって行われた精神鑑定に意味がなかったことになる。なぜ高裁が「職権」で3度目の鑑定を実施したのか、その鑑定が先の2回とどのように異なるのか、納得のいく説明がない。

これに対する産経新聞の提言はストレートだ。

裁判員制度導入前の判例と、国民の日常感覚や常識との間に、ずれが生じていると理解すべきだ。裁判員裁判の判決の破棄が続く現状は、裁判員に無力感を生じさせることにつながる。


僕は裁判員を引き受けたことはないが、相当な負担であることは想像できる。少なくとも、平日に数日間も拘束されるほど仕事に余裕がある人はそういるまい。裁判員制度があまり一般市民に浸透しているとも言えない状況で、このような自体は制度の存続そのものの妥当性に直結する、という指摘だ。

はっきり言及してはいないが、産経新聞がこの一件に注目した契機は、死刑判決との兼ね合いだろう。なまぬるい目で見れば、高裁が死刑判決を強引に翻したのは「一般市民の裁判員に『死刑』という極刑を宣告させる精神的負担を軽減したもの」という見方もできる。

しかし、それが正しければ、裁判員制度というものは死刑反対論者が死刑の履行を強引に覆すための制度的な装置、というだけのことになってしまう。ことの良し悪しは別として、現実問題として日本の法律は死刑制度を定めている。法を直接改訂することなく、運用のほうに枷をかけることにより刑の執行を妨げる、という方策は、法のまっとうな履行のしかたとは言えまい。

僕はつねづね、新聞社説の価値は、主張の内容そのものよりも「そもそもどのような件を採り上げるか」という、視点の持ち方だと思っている。裁判員裁判という、いわば世間的には訴求力の低い静的な話題で、しっかりと現在の日本の問題点を指摘している。最近、似たり寄ったりの社説が多いなか、秀逸な社説と評価できるだろう。



適当にやっても済むことになっちゃうもんね。
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「厚顔無恥」のお手本のような社説

「日本と韓国の対立 『最悪』を抜け出すために」
(2019年12月25日 朝日新聞社説)


さほど損害が伝えられない韓国側でも、多くの業者や関係者が困難な状況にあるはずだ。政府間にはそれぞれ譲れぬ原則があるにせよ、国民の経済的な実利や、市民同士のふれあいの機会を互いに損ねる現状を放置してよいわけがない
両政府とも、相手の政権が代わらない限り、解決は難しいという突き放し感が漂う。だが、それは両首脳が偏った隣国観に固執するあまり、柔軟性を欠く外交をしかけ、ナショナリズムをあおる結果になっているからだろう。
一方、安倍首相は、朝鮮半島に残る歴史的な感情のしこりに無神経な態度が相変わらずだ。先の臨時国会の所信表明で、100年前のパリ講和会議で日本が人種差別撤廃を提案したことを誇らしげに語った。だが、当時の日本が朝鮮の植民地支配で差別を批判されていたことへの言及はなかった。戦後70年を機に出した「安倍談話」でも、朝鮮支配には触れなかった。韓国市民が「ノー安倍」と呼びかけるのは、そんな歴史観が影響している



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日韓関係を壊滅的にする虚言を自らバラまくだけバラまいておいて、他人事のように「いけませんね」などとほざく無責任。こんなことになった根本的な原因が自分たちにあるなどという自覚は微塵も無い。

朝日新聞としてはさっさと日本を韓国に売り渡したいところだろうから「日本は無条件に韓国に土下座しろ」とでも書きたいところだろうが、正直にそう書いてしまったら世論からの乖離を招く。一方、朝日新聞の主要な購買層である生産業からは「政治・外交はともかく、経済関係だけでも日韓関係が友好的になるように世論を操作しろ」という圧力がかかっているのだろう。書かされている文章だから、内容が支離滅裂になる。

本当に日韓関係の悪化について言及するなら、ことの発端である「慰安婦問題」に触れないはずはない。しかし社説内にはそんなことは一言も触れていない。自社の責任に直結する部分だけきれいに無視して、表層的な事柄にだけ偉そうに講釈を垂れる。新聞社としてだけでなく、一企業としての倫理観が全く無い。



令和になっても相変わらず。
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GSOMIA破棄通告、撤回

「日韓情報協定 関係改善の契機とせよ」
(2019年11月23日 朝日新聞社説)
「GSOMIA 韓国の破棄見直しは当然だ」
(2019年11月23日 読売新聞社説)
「日韓情報協定の維持 最悪の事態は回避された」
(2019年11月23日 毎日新聞社説)
「GSOMIA延長 日米韓の協力を立て直せ」
(2019年11月23日 産経新聞社説)
「協定維持を機に日米韓体制を立て直せ」
(2019年11月23日 日本経済新聞社説)

さすがに韓国も、アメリカから見放されるのは怖かったと見える。日本に対して一方的に通告してきたGSOMIA破棄を、失効寸前1日前という直前ギリギリの場面で翻した。この騒動で日韓関係は戦後最悪のレベルに達し、両国は極度の緊張状態に置かれた。

今回の騒動を表層だけ見ると、韓国の常套手段「論点のすり替え」を積み重ねた挙句、韓国が自縄自縛に陥ったように見える。もとはといえば根本の問題は元徴用工問題だ。韓国が1965年の日韓請求権協定を無視し、国民感情を焚き付けて国内経済の停滞から目を逸らそうとしたことが、ことの発端だった。

それ以降、韓国は反日世論を煽るだけ煽り、「日本が悪い」の理屈を積み重ねるべく、論点をずらし続ける。自衛隊機へレーダーを照射し、自衛隊は韓国軍に強い不信感を抱くようになる。韓国はフッ素化合物や軍事転用可能な物資を不透明に流出させており、北朝鮮への横流しを警戒した日本は輸出規制をかけた。ところが韓国は詳細を説明するどころか、逆ギレを起こして「日本が輸出規制をかけるのであれば、GSOMIAを破棄する」と一方的に通告してきた。国内では反日感情を煽り、日本製品の不買運動を政府が主導して行なった。

どの段階でも、本質的な問題から論点をそらし続け、状況が悪化し続けていた。その根本原理はただひとつ、韓国政府が「メンツ」を守ることだけだ。日本の輸出規制は経済的な問題であり、GSOMIAの破棄は安全保障に関する問題だ。本来は別個に扱うべき全然関係ない問題をぐちゃぐちゃに混ぜ、どさくさに紛れて全部一括で解決しよう、という雑な思考回路が読み取れる。日本政府が終始一貫して「輸出規制とGSOMIAは別問題」と言い続けてきたのは、そういう韓国政府の目論みを遮断するためだ。

韓国としては、「さすがに安全保障に関するGSOMIAの破棄をチラつかせれば、日本はビビって言うことを聞いてくるだろう」という意図に見えた。表層だけ見る限り、韓国の最大のミスはこの錯誤だった、ということになるだろう。実際のところ、情報収集能力は韓国よりも日本のほうが高く、軍事衛星の数も群を抜いて多い。今回の騒動の最中にも、韓国軍は北朝鮮のミサイル発射の情報を、よりによってGSOMIAの締結内容を根拠として日本に情報提供を求めている。日本は別にGSOMIAが必要なわけではなく、GSOMIAの最大の受益者はアメリカだ。この状況を見誤ったのが韓国の最大の失敗、という見方が多い。

韓国は、ひとつの問題から目を背けるべく、次の新たな問題を火種として火を点けて回り、最後には大炎上して自爆した・・・と、まぁ、表層から見ればこういう騒動に見える。ところが実際のところは、逆だったのではないかと思う。韓国は最初からGSOMIAの破棄を目指しており、全ての騒動はそこから逆算した「筋道」だったのではないか。

文在寅はもともと、大統領選挙の際にGSOMIAの撤廃を公約に掲げている。GSOMIAは朴槿恵政権のときに締結された軍事協定で、日米韓の秘密軍事情報の保護に関するものだ。だから親族が北朝鮮出身で、北朝鮮を愛する文在寅にとっては、是が非でも撤廃させなければならないものだった。

ところが、正面から「GSOMIAを撤廃する」と発表してしまうと、日米の猛烈な反発を喰らう。国民だって不安がる。そこで文在寅は「日本のせいでGSOMIAを撤廃せざるを得ない」というシナリオを考えた。日本を悪者にすれば、世論は簡単に煽動できるし、アメリカに対しても面目が立つ。そのため文在寅は、多少無理をしてでも結末をGSOMIA破棄に持っていくように話を混乱させなければならなかった。その無茶が災いしたのだろう。

だから韓国は、「経済問題に、安全保障問題という関係ない問題を絡めて、自縄自縛になった」のではない。「もともと安全保障問題に話を持ち込みたくて、その口実として使えそうだったのが経済問題しか無かった」のではないか。はじめから強引にその話に持ち込みたかったのだから、論理が通っていなくて当たり前だ。

つまり韓国は、ふたつのシナリオを描いていたのだろう。

(1)「日本の輸出規制を撤廃させる」← GSOMIA撤廃をチラつかせて、日本から譲歩を引き出す
(2)「GSOMIAを撤廃する」← 日本の輸出規制を大義名分に、日本のせいにして誰も敵を作らずにGSOMIAを破棄する

韓国にとっては、というより文在寅にとっては、どっちでもよかったのだと思う。最低でもどっちかは取れる、王手飛車取りのような感じだったのではないか。騒動の最中の、文在寅の自信満々な態度からは、そういう目論みが読み取れる。

そして日本は、韓国の「表のシナリオ」と「裏のシナリオ」の、両方を見抜いていたようだ。だから日本は終始一貫して「無視」を決め込んだ。韓国としては、日本にあわてふためいて狼狽してもらわなければ困るところだったが、日本は基本方針を一切ぶれさせず、正論を押し切った。その一方で、GSOMIA破棄を憂慮したアメリカが猛烈に韓国にプレッシャーをかけてきた。

今回の騒動のポイントは、「アメリカはなぜ韓国にだけ圧力をかけ、日本側には何も要求してこなかったのか」ということにある。韓国の言い分としては「日本が輸出規制を緩めれば、GSOMIAは継続する」という理屈なので、アメリカとしては日本に対して「韓国への輸出規制を緩めろ」と圧力をかけることだって可能だった。そしてそれが韓国の狙いだっただろう。ところがアメリカ政府は日本には何も言って来ず、韓国だけに圧力をかけた。それはなぜだったのか。

端的に言うと、「安倍首相と、文在寅大統領の、外交手腕の圧倒的な差」だろう。簡単に言うと、トランプ大統領との個人的な信頼関係の構築度合いの差だ。安倍首相はトランプ大統領の就任以来、日米関係が緊張しないように細部にわたって対策を敷き続けた。

あまり報道されていないが、個人的には、安倍首相がアメリカと良好な関係を保つために採った策は「中国」だと思う。いま日本は中国と珍しいほど良好な関係にあり、年度末には習近平の国賓としての来日が予定されている。一方、アメリカと中国の関係は最悪だ。経済、軍事、政治、外交、すべての面で最悪の状況にある。だからアメリカにとって、対中国という観点から日本は絶対に味方にしておかねばならない「手駒」であり、自陣側に引き入れるためには良好な関係を保つ必要がある。

正直なところ、いまのアメリカは「韓国ごときに関わっている暇はない」のだろう。対中国が重要な局面を迎えていて、外交の全神経を中国対策に集中しなければならない。今回の騒動でアメリカが韓国にとった行動は「高官を派遣して圧力をかけ説得する」という、なんのひねりもないストレートなものだ。策を弄するだけの余裕がアメリカにはないのだろう。力で押し切る棍棒外交だ。それは逆の韓国側から見れば、対話の余地のない、とりつく島もない一方的な圧力だ。日本は「アメリカにこういう態度をとらせることに成功した」といえる。

報道だけを見ていると、現在の日本政府の、対中国の基本方針は「アメリカとの距離感をうまく作り出すために中国を踊らせる」というものに見える。安倍首相は、こういう外堀の埋め方で、あの扱いにくい元不動産屋を手なずけているのだろう。正攻法以外にも、トランプが来日した際には一緒にゴルフをし、鉄板焼に連れて行き、良好な関係を保つ努力を怠らなかった。こうした硬軟取り混ぜての外堀の埋め方が、今回の韓国との関係においてアメリカを味方に引き入れる布石になっていたと思う。

一方、韓国のアメリカに対する姿勢は最悪だった。のっけから「GSOMIA破棄は、アメリカも了解している」と大嘘をついてしまった。この公式発表に仰天したアメリカは瞬時にそれを否定して、激しく非難している。GSIMOA失効直前の数週間でアメリカ政府が怒濤のごとく政府高官を韓国に派遣し、方針の翻意を迫った事実だけを見ても「アメリカも了解している」という韓国の発表が嘘以外の何者でもないことは明白だろう。アメリカ政府はもはや韓国を全く信頼しておらず、「日韓関係は知らん。そっちが勝手に解決しろ。これは韓米関係の問題だ」と構図を局所化して迫った。

アメリカのこの出方によって、韓国の目論みとしての両方のシナリオが消えた。「アメリカが仲裁して日本から譲歩を引き出す」も「日本を悪者にしてGSOMIAを破棄する」も、両方とも行き詰まってしまった。韓国の敗因はただひとつ、アメリカの操縦に失敗したことだろう。今回の騒動を通して、韓国の対日方針は「日本に何かを直接言う」だけで、絡め手が絶望的に下手だ。一方の日本は、中国という背後を固め、アメリカを味方に引き入れ、気付いた時には韓国が孤立しているように、長い時間をかけて外堀を埋めた。

結果として韓国はふたつの目論みの両方に失敗している。これを外交戦争と見なすなら、日本の圧勝だろう。結果云々ではなく、過程を見るだけでも相当な差がついた。8月のGSOMIA破棄通告から11月までの4ヶ月間、韓国政府にかかったストレスは甚大なものだろう。対して日本は事態を静観し、黙って見ていただけだ。どちらの政府がより疲弊したのかは明らかだろう。

韓国政府としては「危機を乗り切った」「両国が融和ムードのなれば」「これを機に日本の経済措置の緩和を」などと楽観ムードのようだが、今回の一件は韓国が勝手にGSOMIA破棄というカードを切って、勝手に危機に陥り、勝手に前言撤回しただけだ。7月から何も事態は変わっていない。元徴用工の問題と、韓国が軍事転用可能物品を横流ししている疑惑の問題については、日本は依然として韓国の対応を迫る状態に戻っただけだ。韓国は自分で火を点けて自分で消し、融和ムードに浸っている場合ではなかろう。本当の勝負はこれからだ。

韓国はGSOMIA継続を発表してもなお、「いつでも破棄できるとの認識でいる」などと強がっている。これは、最低でも、裏のシナリオ「誰からも非難されずにGSOMIAを破棄する」の方針だけでも残したい、という最後のあがきだろう。実際のところ、いまの状況で韓国がGSOMIAの破棄を一方的に通告してきたら、アメリカが激怒する。もし文在寅が本当にGSOMIAの破棄を一方的に通告してきたら、その時は韓国が西側の同盟から外れ、中国・北朝鮮・ロシアの側に回るときだろう。韓国国内で頻繁に発表されていた世論調査では、大多数の国民が「GSOMIA破棄に賛成」だった。ということは韓国国民も、西側同盟からの離脱し、中国の傘下に堕ちることを希望しているのだろう。

結局のところ、韓国は今もなお「中国の植民地」ということなのだと思う。数千年をかけて熟成された被支配民としてのメンタリティーは、いまもなお韓国国民の中に脈々と生きている。「過去の過ちを謝罪せよ」などと日本には頻繁に言ってくるが、何世紀にもわたって蹂躙されてきた中国にはそんなことは一言も言わない。なぜなら韓国にとって中国は今もなお「宗主国様」だからだ。北朝鮮を愛して止まない大統領と、ふたたび中国の植民地に戻ることを希望している韓国国民は、相性がとてもよく支持率も高いようだ。念願の朝鮮半島の統一も、そう遠いことではないかもしれない。文在寅は「北朝鮮主導での半島統一」を指向している。韓国国民には、ぜひとも刈り上げ黒電話の支配のもと、経済が破綻し貧困と飢餓に満ちた、北朝鮮式の生活を楽しんでいただきたい。 



さてどうやって面子を保つのかな。
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原因と対策

文在寅の報復は「日本に影響ナシ」どころか「韓国に大打撃」の可能性 経済の条件が違いすぎる
(高橋 洋一)

韓国の失政の代表例は、雇用政策である。文政権は、韓国内では左派政権とされるが、それが雇用政策に失敗したとあっては、面目がないだろう。この点、韓国の文政権は驚くほど日本の民主党と共通点がある。

文政権は、「最低賃金引き上げ」と「労働時間短縮」に取り組んだが、結果として失業率は上がってしまった。

最低賃金引き上げも労働時間短縮も、ともに賃金引き上げを意図した政策だ。しかし、金融緩和を行って雇用を作る前に、先に賃金を上げてしまうと、結果として雇用が失われる。典型的な失敗政策で、まさに日本の民主党政権と同じ間違いだ。

左派政党の建前は、労働者のための政治だ。このため、雇用を重視する。しかし、雇用を作るための「根本原理」が理解できていないと、目に見えやすい賃金にばかり話が行きがちだ。

金融緩和は、一見すると企業側が有利になる。そのため左派政党は、短絡的に「金融緩和は労働者のためにならない」と勘違いする。金利の引き下げは、モノへの設備投資を増やすとともに、ヒトへの投資である雇用を生み出すことを分からないからだ。

この間違いを犯す人は、金融引き締めで金利を上げることが経済成長のためになる、などと言いがちだ。例えば、立憲民主党の枝野幸男代表がその典型だ。

そうした勘違いの末、政策として実行しやすい最低賃金の引き上げを進める、という話になる。民主党政権もこれで失敗した。


この軋轢を「外交問題」と捉えている人が多いが、その実、この問題の本質は文在寅の「経済失策」にある、という指摘。
この指摘が正しいのであれば、文在寅が強行に嫌日政策をとっている理由は「それが唯一の失政回復の方法だから」であり、ことの本質は外交には無いことになる。日本側の態度は一切関係ない。日本側がどういう態度をとろうと、文在寅にはこの方策しか無い。

つまりこの件は、外交努力で解決できる類いの問題ではないことになる。



原因を断ち切るのが問題解決の王道。

反論すべき社説はどれか

「対立する日韓 交流の歩みも壊すのか」
(2019年8月3日 朝日新聞社説)
「輸出優遇国除外 韓国はなぜ現実に向き合わぬ」
(2019年8月3日 読売新聞社説)
「韓国を『輸出優遇』除外 負のスパイラルを案じる」
(2019年8月3日 毎日新聞社説)
「ホワイト国除外 「甘え」絶つ妥当な判断だ 韓国は不信払拭の行動起こせ」
(2019年8月3日 産経新聞社説)
「日韓は摩擦対象を広げるな」
(2019年8月3日 日本経済新聞社説)
「ホワイト国除外 「報復」の悪循環やめよ」
(2019年8月3日 東京新聞社説)


日韓の国際関係に決定的な亀裂を生じさせた今回の輸出優遇国除外措置。
日本政府の決定の是非はさておいて、ここでは単純に社説の出来・不出来だけに注目して読んでみたい。この中に、ひとつだけ「絶対に反論しなければならない社説」がある。どの社説だろうか。

それぞれの社説で、意見を出してる立場が違う。

「よいことだ」・・・産経
「よくないことだ。韓国が悪い」・・・読売
「よくないことだ。日本が悪い」・・・毎日、東京
「よくないことだ。両方悪い」・・・朝日、日経

意外なのは朝日新聞だ。ここのところ日韓関係については偏向報道を立て続けに流し、世論の批判を浴びていることを十分に意識しているのだろう。今回の日本政府の決定に関しては、ちょっと驚くほど中立な立場で書いている。「角度」の付け方が普段の朝日らしくない。

自治体や市民団体などの交流行事は中止や延期が相次ぐ。7月の半導体材料の輸出規制もあわせ、今後の運用次第では韓国経済を深刻に苦しめ、日本の産業にも影響がでかねない。きのうの決定が実施されるのは今月下旬からになる。両国関係に決定的な傷痕を残す恐れがある一連の輸出管理を、日本は考え直し、撤回すべきだ。
(朝日社説)
一方、文在寅(ムンジェイン)政権は対抗策として、安保問題で日本との協定を破棄する検討に入った。だが北朝鮮が軍事挑発を続けるなかで、双方に有益な安保協力を解消するのは賢明な判断とは言えない。文大統領は、ここまで事態がこじれた現実と自らの責任を直視しなければならない。きのう「状況悪化の責任は日本政府にある」と語ったが、それは一方的な責任転嫁である。

当面の対立緩和のために取り組むべきは徴用工問題だ。この問題で文政権は、韓国大法院(最高裁)が日本企業に賠償を命じる前から、繰り返し日本政府から態度表明を求められてきたが、動かなかった。文氏は、司法の判断は尊重するとしても、行政府としては過去の政権の対応を踏まえた考え方があることを、国民に丁寧に説明しなくてはならない。
(朝日社説) 


現代の国際間紛争であれば、片方だけが一方的に悪いということはあり得ない。今回の日本の措置にしても、日本だってしたくてそんなことをしたわけではない。状況をコントロールする方法として、持っている手段を公使しただけだ。その前提には、「状況がコントロールを必要とするほど乱れている」という現実がある。

朝日の主張は要するに「状況を悪くしたのは韓国。そのコントロール手段を誤ってるのが日本」という内容だ。結果としてだが、わりとバランスのとれている社説になっている。普段の朝日新聞であればもっと韓国ワッショイの記事を載せるところだろうが、朝日新聞の現状からしてそれは致命傷になりかねないと踏んだのだろう。ビビった挙句なのだろうが、結果としてわりとまともな社説になっている。

朝日と並んで「両方悪い」という主張を載せている日経社説は、珍しく出来が悪い。経済と民間交流に及ぼす影響しか考えていない。もとは政治的な背景のある問題だとしたら、「そもそもの原因は何か」という過去由来の論拠と、「それが及ぼす影響は何か」という未来志向の論拠と、両方を揃えなければ説得力がない。今回の日経は、後者だけに著しく偏っている。ことの発端がどうであろうが関係ない、影響だけが問題だ、という書き方だ。これでは影響の指摘が適切であろうとも、説得力のある解決策には結びつかない。

普段の朝日の論調をそのまま踏襲したのが毎日新聞だ。完全に「韓国が正しい。日本が間違っている」の一本槍。いくら左派系とはいえ、ここまで他国寄りの社説を載せる新聞は世界的にも珍しいだろう。

毎日新聞がどのような主張を載せようが勝手なのだが、その論拠がいただけない。毎日新聞の論拠は、「政治的な対立を、経済的な手段で報復するのは筋違いだ」ということだ。もともと今回の日本の優遇国除外措置は、日本政府の発表によると、政治的対立は関係ない。単に「優遇国として課されるルールを韓国が守っていないから」ということになっている。日本が眉を顰めたのは、兵器に転用可能な輸出品目の管理と報告を韓国がずさんに行なっていることだ。端的に言えば、北朝鮮への兵器用素材の密輸を疑っている。

だから毎日新聞の主張の妥当性は、「今回の日本の措置は、本当に政治問題に由来した報復なのか」というのを明らかにできるかどうかに懸かっている。経済の問題に対して経済で対処したのなら、何の問題もないはずだ。

それに関する毎日新聞の論拠が、お粗末極まりない。

韓国は1965年の日韓請求権協定に基づき解決済みとしてきた。だが昨年の韓国最高裁判決を受け、今年6月に日本に示した案は日本企業に資金拠出を求める内容だった。請求権協定に基づき、日本が要請した仲裁委員任命にも応じていない。日本政府は国際法違反とみている。

日本政府は元徴用工問題への事実上の対抗措置として輸出規制に踏み切った。世耕経産相は、韓国の対応について、信頼関係が著しく損なわれたと説明していた。

だからといって無関係な貿易の手続きを持ち出すのは筋が通らない。日本政府は否定するが、国際的には貿易の政治利用と受け止められた
(毎日社説)


「貿易の政治利用と受け止め」たのは、一体誰なのか。
「国際的には」とは、どこで誰が言ったことを指すのか。


一番肝心な論拠を、受身で書いて動作主をごまかして書いている。最も恥ずべき書き方だ。「みんなそう言ってますよ」「そう言われてるんですよ」などという書き方に、説得力など微塵も無い。学校の生徒が、作文や小論文で絶対に書いてはいけない書き方だ。子供でさえ改めさせられる外道な書き方を、こともあろうに全国紙の社説が臆面もなく書いている。もはや「恥を知れ」レベルの社説だ。

「恥を知れ」レベルの出来の悪さでいえば、東京新聞も負けてはいない。毎日新聞は、一応、論拠らしいものを出す体裁を整えるふりをしつつ、肝心なところをごまかして書いていた。一方、東京新聞はその体裁を整えようとすらしていない。

日韓間では、影響が広がっている。心配なのは地方自治体や若者による草の根の交流事業が、相次いで中止されていることだ。韓国では日本製品の不買運動が拡大。飲料や衣料だけでなく、日本車も対象になっている。日本への観光客も激減しており、両国をつなぐ航空便が次々に停止や縮小に追い込まれている。

問題の発端は、昨年十月、韓国最高裁が出した元徴用工をめぐる判決だ。しかし、ここまで関係が悪化している現実を、日本政府は認識しているのだろうか。混乱の拡大を懸念し、韓国だけではなく米国も見送るよう求めていたのにもかかわらず、除外を強行した責任は重い。


「しかし」の意味がまったく分からない。
並べてみると、

「韓国で日本に対して良くないことが次々と起きている」
 ↓
「発端は韓国最高裁が出した元徴用工をめぐる判決」
 ↓
「日本の責任。日本が悪い。」



なぜ。



韓国側の問題を延々と指摘したあとに、何の脈絡もない「しかし」という接続詞一発で、日本の責任追及にあっさり舵を切る。根拠も、文章の体裁も、論理の整合性も、一切無い。すべて軽やかに無視している。こうなると、もはや社説ではない。なりふり構わず読者を誘導するための煽動記事以外の何者でもない。東京新聞なら、そのくらいは平気でするだろう。

こうして見てみると、「日本が悪い」系の新聞は、内容云々以前に、社説としての出来が悪い。説得力が皆無だ。これは新聞業界全体にとって由々しき事態だと思う。産経新聞のような好戦的な主張に対する反論として機能しないからだ。

産経新聞だけが、今回の日本政府の措置を全面的に支持している。極右系の新聞だけあって、開戦も辞さないような攻撃的な社説だ。しかも挙げている論拠には、出自不明の伝聞やら「〜と言われている」的なごまかしは一切なく、淡々と事実を積み上げて論証している。この主張に反論するのは、少なくとも毎日新聞や東京新聞では無理だろう。 書き方の妥当性と説得力が段違いだ。

産経新聞は、論拠の筋は通っている。しかし、それが「妥当な提言」になっているかというと、大いに疑問だ。ぶっちゃけ、隣の国なのだから、関係が悪くなって良いはずは無いのだ。新聞社説の提言としては、「韓国なんてぶっ潰せ、やっつけろ」ではなく、「どうすれば事態が収束するか」という、平和的な着地点の模索であるべきだろう。

最近の韓国の、国としてのあり方に苦虫を噛み潰す思いの日本人は多いかもしれない。しかし、国際間の問題で「胸がスカッとするような方策」は、破滅の道であることが多いのだ。戦前の日本の国際連盟脱退もそうだったし、日ソ中立条約の破棄もそうだった。産経新聞の社説からは、そのような道を日本が再び辿ろうとしている危険な気配を感じる。

だから他紙としては、産経新聞のこのような好戦的な社説に歯止めをかけるべく、冷静な視点で収拾案を提言しなくてはならない。産経新聞のような社説に熱狂して同意し、「韓国憎し」の感情を増幅しても、廻り廻って損をするのは日本なのだ。ちょうど今、外交的にも内政的にも窮地に経たされた文在寅大統領がひたすら「日本憎し」のプロパガンダを炸裂させているが、日本もそれと同等の立場に堕ちてしまう。その愚を犯す危険は避けなければならないだろう。

日本は歴史教育によって、なぜ戦前の日本が世論によって戦争を回避できなかったのかを、すでに学んでいる。「他国を潰そう」という憎しみのエネルギーが諸刃の剣であることは、日本は世界のどの国よりも学んでいるはずだ。産経新聞の主張は正当で論拠に弛みがなく、正しい。正しいからこそ、産経の主張に正面から反論し、代替案としての収拾策を提言できなければならない。それこそが、国際紛争を事前に回避する歴史教育の目的だろう。それができなくては、日本国民は、韓国や中国を「『歴史認識』を一方的な齟齬によって犯す国」として批判する資格はない。



八方塞がりの韓国には、今ああいう態度以外に方策は無い。
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ペンギン命

takutsubu

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