2014年09月
2014年9月13日 朝日新聞『素粒子』
爪楊枝ほどの矢でも事実の土台が揺らげば害になる。吉田調書に関する小欄の過剰な表現を撤回しおわびします。
〈京橋の滝山町の新聞社/灯ともる頃のいそがしさかな=石川啄木〉輪転機はきょうもまわる。原点は忘れまい。
ご批判はつつしんで。さりとて世には気にかかることなお山積み。来週からまた輪ゴムの弦に爪楊枝をつがえん。
再犯予告してどうするんだ
『雪印事件 食品を扱う重さを知れ 』
(2000年7月7日 朝日新聞社説)
(2000年7月7日 朝日新聞社説)
過去最大級の食中毒事件を起こした雪印乳業の首脳陣の対応ぶりからは、消費者の健康や安全に直結する食品を扱っているという責任感や危機意識が全くと言っていいほど伝わってこない。 公表と製品回収の遅れに加え、情報隠し、虚偽報告、はては証拠隠滅とも取られかねない行為まで、次から次へと明らかになってきた。こんな調子では、消費者の間に「まだ何か隠しているのではないか」という懸念が膨らむのも当然だろう。ことは一企業の問題にとどまらない。低脂肪乳がずさんな管理のもとに送り出されていたという実体は、牛乳全体への不安を広げかねない。酪農家も危機感を深めている。
石河哲郎社長が引責辞任を表明した。しかし、トップが辞めれば企業の責任が帳消しになるというものではない。原因を徹底的に究明し、その結果を包み隠さずに公表する。それは、消費者の不安を解消するために雪印に課せられた最低限の責務だ。
それにしても、同社の対応はひどかった。当初「十円玉大」としていたバルブ内部の汚染は「内部全体に広がり」、「月一、二回」としていたバルブの使用は「二日に一回以上」に変わった。汚染箇所についても「すぐ生産に入れるように」と洗い流していた。低脂肪乳とは別の乳飲料についても汚染の疑いがあることを知っていたが、「クレームがほとんどなかった」と放置していた。石川社長は、事件を起こした工場に駆けつけなかった。記者会見の席上で、事実関係を説明する工場長に「それは本当か」と叫んだ。トップのそんな言動が、この企業の病巣を、余す所なく物語っている。
しかし、この事件を「対岸の火事」と傍観していられる企業人がどれだけいるだろうか。それは、日本の会社が抱える問題の一面をはからずもあぶりだしたのではないか。一線からトップまで生え抜きで固め、世間の常識より社内の慣習が優先する。経営のお目付役のはずの監査役は、肝心なときにものをいわない。一つ間違えれば「雪印」になる危険性を、多くの企業が抱えている。緊急事態で何よりも大切なのが、正確な情報の把握と公開である。食品や医薬品など命にもかかわる商品ではとりわけ、情報を知らせるスピードが決定的な要素になる。必要なのは、ことが起きた場合の適切な対応だけではない。ふだんから「外の空気」を取り入れ、判断をチェックするとともに、不都合な情報でもトップまで届く仕組みを経営に組み込んでおくことが欠かせない。社外の人材を取締役や監査役に迎えることは、その意味で重要だ。
雪印が大阪工場の全商品の回収に追われた同じ日、参天製薬は、新たな包装による商品の販売を再開した。異物が混じった目薬と脅迫状を送りつけられた同社は、社長が出張先から取って返し、間髪を入れずに商品の回収と事態の公表に践みきった。ひと月足らずの間に起きた二つの事件を見れば、どちらが消費者の信頼を得る対応だったか、いうまでもなかろう。
じゃあ、そうしろよ。ほら早く。
『論じることの原点を心に刻んで』
(2014年9月13日 朝日新聞社説)
『吉田調書公開 朝日が「撤退」取り消して謝罪』
(2014年9月12日 読売新聞社説)
『朝日社長会見 メディアの重い責任』
(2014年09月12日 毎日新聞社説)
『論じることの原点を心に刻んで』
(2014年9月13日 朝日新聞社説)
『報道への不信ぬぐい去る責務 』
(2014年9月13日 日本経済新聞社説)
『朝日新聞の謝罪 言論報道の責任と使命』
(2014年9月13日 東京新聞社説)
2014年9月13日 朝日新聞『天声人語』
・吉田調書・・・今回の社説、天声人語で公式に謝罪
・池上氏コラム・・・コラム掲載と同時に謝罪
・慰安婦問題(吉田証言)・・・今日に至っても紙面での謝罪なし
(海外他紙は、紙面に記載されていることしか引用できない。)
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(2014年9月13日 朝日新聞社説)
『吉田調書公開 朝日が「撤退」取り消して謝罪』
(2014年9月12日 読売新聞社説)
『朝日社長会見 メディアの重い責任』
(2014年09月12日 毎日新聞社説)
『論じることの原点を心に刻んで』
(2014年9月13日 朝日新聞社説)
『報道への不信ぬぐい去る責務 』
(2014年9月13日 日本経済新聞社説)
『朝日新聞の謝罪 言論報道の責任と使命』
(2014年9月13日 東京新聞社説)
「吉田調書」は、社説でも取り上げ、全面公開を求めました。その中で、誤報だった記事に基づいて「所員の9割が命令に反して10キロ余り離れた別の原発に一時退避」や「所長の指示・命令が守られず」という表現を使いました。社説を担う論説委員室として、読者や関係者の方々にかさねて深くおわびします。
(朝日社説)
慰安婦報道の影響については、今後、第三者機関で検証を進めてもらいます。ただ、たとえば1997年に一度検証をしながら、吉田清治氏の証言を虚偽だと断定し記事を取り消せなかったのは、反証となる事実や異論への謙虚さが欠けていたからではないかと自問せずにはいられません。
(朝日社説)
2014年9月13日 朝日新聞『天声人語』
まっさらな紙に記事が印刷されて、世の中に出ていく。新聞社で働く者の喜びであり、ささやかな誇りでもある。しかし昨日の紙面は、朝日新聞にとって痛恨のものとなった。報道にたずさわる一人として、身が縮む。同僚だれもが同じ心情だと思う
▼当コラムの執筆を任されたころ、敬愛する先輩に言われた。引き継がれてきた1本のろうそくに、毎日毎日、火をともすように書く仕事だ、と。小欄だけではない。新聞づくりそのものが、社員全員が真摯な気持ちで、日々に新たな火をともす仕事である
▼言論の自由の保障が、日本国憲法にもある。人間の歴史がこの自由を獲得するまでに、どれほどの血が流れ、苦闘があったことか。その理念を尊び、死守すべき言論機関として、慰安婦問題をめぐる池上彰さんのコラム掲載を見合わせたのは最悪だった
▼気に入らない意見や、不都合な批判を排した新聞は、もう新聞ではない。「あなたの意見には賛成しないが、あなたがそれを言う権利は命をかけて守る」。古来の至言が、信頼もろとも紙面上に砕け散った思いがした
▼「吉田調書」については、今年5月の小欄でも取り上げている。初報記事とともに「命令違反」の表現が誤っていたことを、おわびいたします
▼砕け散ったもののかけらを、時間はかかっても拾い集める。そして信頼を一から作りなおしていく。深く自省する中で、朝日新聞が言論の一翼を担っていく気構えには揺らぎがないことも、あわせてお伝えをしたい。
・吉田調書・・・今回の社説、天声人語で公式に謝罪
・池上氏コラム・・・コラム掲載と同時に謝罪
・慰安婦問題(吉田証言)・・・今日に至っても紙面での謝罪なし
(海外他紙は、紙面に記載されていることしか引用できない。)
以上です。
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