たくろふのつぶやき

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2014年08月

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GDP大幅下落

『日本の経済 「民間主導」へ正念場だ』
(2014年8月14日 朝日新聞社説)

『GDP大幅減 消費回復の後押しが必要だ』
(2014年8月14日 読売新聞社説)

『増税後の景気 消費回復がカギになる』
(2014年8月14日 毎日新聞社説)

『GDP大幅減 消費につながる賃上げを』
(2014年8月14日 産経新聞社説)

『「反動減」後の経済の復元力が試される』
(2014年8月14日 日本経済新聞社説)



4~6月期の実質国内総生産(GDP)を内閣府が発表した。年率換算で前期比6・8%減の大幅減収となり、東日本大震災があった2011年の1~3月期以来、ほぼ3年ぶりのマイナス成長となった。これに対し、新聞各社がそれぞれの見解を社説で公表した。

大きく分けて、「ヤバいぞヤバいぞ」と危機感を煽っているのが読売、産経。
「大したことはない」と不問視しているのが毎日、日経。
判断を明言せずに数値的な事実を淡々と並べているのが朝日。
このうち朝日新聞は社説としての役割を最初から放棄しているので議論から除外するとして、危機感組と不問視組の、どちらの社説に軍配を挙げるべきか。つまるところ、今の日本の経済は大丈夫なのだろうか、やばいのだろうか。

単純に考えれば、今回の4~6月のGDPが下がるのは、当たり前だ。今年4月には消費税が増税し8%に上がり、その直前に駆け込み需要が相次いだ。1~3月期の成長率が年率6.1%の高成長だったのは、別に日本の景気が良くなったわけではない。「税金が高くなる前にいろいろ買っておこう」という、消費者の買いだめのためだ。僕もコンピューター機器や文房具などの消耗品を、3月にかなり買い込んだ。個人的な実感としても、小売店はどこも1~3月には「増税前のお買い物」をさかんに煽って安売り競争を激化させていた。
それが4月になって消費税8%になると、消費者が買い控えをするのは当たり前だ。だから今回のGDP減を捉えるときに、「6・8%減」という数字だけを根拠に読者の危機感を煽るような書き方をするのは、早計に過ぎる。

消費税増税をきっかけとする景気の上下動は、いわば水面の波のようなものだと思う。増税という大風が吹いたので、水面は確かに荒れただろう。しかし経済の底ははるかに深く、水面下での大きな水のうねりが最終的に景気動向の鍵になる。今回の社説を読み比べた時に評価の基準となるものは、その「波上の荒れ」と「水面下の深い水の動き」を、きちんと分けて論じているかどうかだと思う。

新聞紙上では「6・8%減」という数字が一人歩きしているような気がするが、これはあくまでも前四半期との比較に過ぎない。増税前の駆け込み消費の時期と、増税後の買い控えの時期を比べたら、そりゃ数字が下がるのは当たり前だ。ここの数値だけを取ってもあまり参考にはならない。
ふつう小売店が売り上げの動向をつかむ時には、前月比ではなく前年比で業績を判断する。小売店は消費者の生活様式によって売り上げがかなり上下動するので、環境の違う月ごとの数値を比較しても、意味がない。今月8月の業績の上下動をはかるときには、前月7月の売り上げと比較するのではなく、前年の8月と比較しなければならない。
大学の近くのコンビニは毎年、3月の売り上げが最低で、4月の売り上げが最高になるのだそうだ。3月には春休みで学生が登校せず、部活も休みになることが多い。4月には新入生や保護者が大学に殺到し、大学は1年で最も人が多くなる。そういう環境の小売店が、3月と4月の売り上げを比較しても、何の参考にもならない。前年のそれぞれの月と比較しないと、売り上げの上下動が把握できない。

それと同様に、今回のGDPに関しても、1~3月期と、4~6月期を比べても、あまり意味はない。今回のマイナス成長の主な理由は個人消費であり、その原因が消費税であることは明らかだろう。増税の反動は大きかっただろうが、今の日本経済の本質を捉えるには、増税という今回限りの要素を除外した上で景気の動向を論じなければならない。

ヤバいぞ系の社説をよく読んでみると、個人消費をあたかも日本経済のすべてのような書き方をしている。産経新聞は民間企業の収益差額と個人消費の関連を根拠として、今回のマイナス成長を「予想よりも大きかった」と論じ、その論旨で一点突破を図っている。企業側が人件費を上乗せしても物価上昇のほうが上回ったため消費が伸びなかった、という論拠から、企業の雇用問題に話題を広げている。もはや話題は景気動向の話ではなく、雇用問題と企業の投資能力に話がずれてしまっている。もし産経の論旨が正しいとしたら、「もし企業が収益と支出のバランスを適性に諮っていたら、今回のマイナス成長は抑えられていた」という主張につながる。そんなことははじめから無理だっただろう。
読売新聞に至っては、今回のマイナス成長を電力料金の高騰と結びつけて、原子力発電所の再稼動に話をもっていっている。読売新聞はもともと原発必要派で、かねてから停止状態の原発の再稼動を訴えていた。しかし、だからといって今回のGDPの動向を原発問題に絡めるのは、我田引水の謗りを免れないだろう。海面下の水の動きを論じなければいけない時に、山の高さの話をしているような違和感を感じる。

これらの新聞の共通点は、ミクロな視点に焦点を絞っているところだ。たしかに新聞の購買層は誰もが経済人ではなく、景気の動向に詳しいわけではないので、消費行動という読者に一番身近な経済活動に焦点を絞るのは、それなりに理解できる。
しかしGDPの動向というのは、そもそも我々の日常生活とは乖離した概念だ。GDPは、ミクロもマクロもすべてひっくるめた経済の動向を極端に数値化したものであり、個人消費のようなミクロな視点だけで論じても不十分だろう。その点だけを考えても、個人消費の落ち込みだけをもって今回の成長率を評価する姿勢には、疑問を感じる。

一方、大丈夫だ派の2紙は、個人消費の落ち込みという「荒波」と、貿易収支や公共事業などの「深海」の、両方を分けて論じている。日経と毎日では同じ楽観論ながらやや論調が違うが、おおむね主張しているところは「今回に関しては、消費動向とは別に景気の動向を観る必要がある」という点では一致している。
毎日新聞も、産経と同様に、非正規社員の正規化等の雇用問題を採り上げている。しかし、その使い方が産経とは違う。産経の場合、企業の雇用問題を、消費行動の落ち込みの「原因」として使っているのに対し、毎日は消費税のせいで落ち込んだGDP回復の「手段」として使っている。企業の雇用の不安定化は今回の4~6月に始まった話ではなく、増税前の駆け込み需要でGDPがはね上がった1~3月にも同様に生じていた現象だったはずだ。だとしたら、それに今期の落ち込みの原因を求めるのは無理がある。論旨のつながりと主張の内容として、毎日新聞のほうに軍配があがるだろう。

面白いことに、悲観派の読売と楽観派の日経が、同じ現象に注目している。公共工事などの建設業の動向だ。ただし、その捉え方が微妙に異なる。大雑把に言うと、読売は建設業の動向を、個人消費の落ち込みと同系列の問題として扱っているのに対し、日経はそれぞれを別物として扱っている。

7月以降も百貨店の売上高や新車販売の不振が続くなど消費回復が鈍いのは気がかりだ。消費増税の影響だけでなく、円安や原油高による物価上昇もあって、消費者の財布のヒモが固くなっているのではないか。設備投資も低調で、内需のけん引役が見当たらない。景気失速への警戒を強める必要がある。安倍首相は年内にも、2015年10月に消費税率を予定通り8%から10%に引き上げるかどうか決断する。経済動向を注意深く見極めることになろう。消費増税の影響緩和のため昨年12月に策定された経済対策は、建設現場の人手不足や資材高騰のあおりで公共工事が遅れ、まだ十分な効果が表れていない。事業の円滑な執行が求められる。職業訓練の充実などで求職と求人のミスマッチ解消を促進し、人手不足の弊害拡大を防ぎたい。
(読売社説)

過度に悲観する必要はないだろう。1~3月期と4~6月期の実質GDPの平均は昨年10~12月期を上回っている。消費増税の前後の大きな振れを除いてみれば、「景気は緩やかな回復基調が続いている」との甘利明経済財政・再生相の判断は妥当だ。先行きの好材料は多い。雇用・所得環境が改善し、消費者心理も上向いている。日銀や日本政策投資銀行の調査をみると、企業は今年度に高水準の設備投資を計画している。現時点でエコノミストは7~9月期に4%程度のプラス成長に戻ると予想している。気になるのは、公共投資が2四半期連続で減少したことだ。人手不足や資材価格の上昇により、工事の進捗が遅れているとすれば問題だ。政府は入札方法の改善などで円滑な執行に努めてほしい
(日経社説)


ふたつの困った症状が出たとき、それぞれが別物の現象なのか、原因が同じつながった問題なのかを見極めることが大事だ。読売がこの個人消費と建設業収支をつながった問題と捉えているのに対し、日経は個人消費の落ち込みを「今期は仕方ない」としながらも、それとは別に建設系の公共投資を「これはこれで別に問題だ」と提起している。
このふたつの見方のどちらが正しいのかは、僕の経済学の知識では判断できないが、「同じ現象を論拠として使う場合でも、立場が違えばまったく異なった使い方をされる」というのは、社説を読む上で示唆に富む事例だと思う。

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