たくろふのつぶやき

春は揚げ物。

2010年08月

業界用語とプロトコル

たとえば、こんな会話。
セールストークで、こんな会話が聞かされたら、どうだろう。


「要は販促ツールとしての媒体ですよね。紙でのエンドユーザーへの訴求は現代的にないですね。ネットで弾撃っても、返りのポテンシャルは無いですよ。え、電波ですか?この節、どこもGRPがひどくて、ステーションや電博にお金使うなんて、盗人に追いマネーみたいなもんです。もっとプリミティブなシズル感を活かした絵に、キャプションかぶせた投げ込みから、ゴーしましょうか」



何を言っているのかさっぱり分からない。営業としては無能だろう。 
このセールストークを、ふつうに言い換えると、次のようになる。


「要は広告としてどの媒体を使うかですよね。雑誌での購入者へのアピールは、今では厳しいでしょう。ネット広告にお金を使っても、反応の可能性はあまり得られません。え、テレビですか?最近はどこも延べ視聴率がひどくて、テレビ局や有名広告代理店にお金使うなんて、無駄だと思います。もっと基本に立ち返って、消費者の感覚を直接揺さぶるような感覚を活かした写真に、売り文句をつけて、ポストに入れるチラシ広告から始めればいいではないでしょうか。」



これだと、言っていることが分かる。


「業界用語」を使うことがカッコいいと思っている人がいるような気がする。必要のないところでやたらと用語を連発したり、そんな用語を絶対に知らないと思われる一般人にまでずけずけと用語をひけらかす。
「軽薄な奴だなぁ」と思われても仕方あるまい。

業界用語は、もともと「いちいち最初から説明すると面倒くさいけど、その状況をよく分かっている人たちの間ではひとことで分かる符牒」がもとになっている。
つまり業界用語とは、その業界をよく知っている人の間では、もともと便利なものだ。

コンピューターでは、この「業界用語」的な単位がないと、計算が煩雑になる。コンピューター間のデータのやりとりの際、それに関わる手順や規約をいちいち辿っていると、処理速度が遅くなる。そこで、A→B→C→D→E→Fという決まりきった手順をいつも辿るときには、間をカットして、A→Fと規定してしまう。
このような「こういう場合には、こう規定しておく」という手続きのパッケージのことを、「プロトコル」という。このプロトコルによって、現在のネットワーク通信は驚異的なスピードが可能になっている。
Webサイトを見るときにURLに表示される「http」というのは、HyperText Transfer Protocolという通信プロトコルの略称だ。

日常生活で言語的プロトコルを使用するときに注意するべきことは、プロトコルそのものの効率性ではない。
プロトコルが通じない「外部の人」に対して、プロトコルを安易に使わない、ということだ。

新しい環境に身を置いたとき、自分の知らない分野に足を踏み入れたとき、基礎段階で行うべきことは、「その世界のプロトコルを身につけること」と言って過言ではない。
会社に入社したとき、報告書や始末書はどう書いて、どう提出するのか。
問題に取り組むとき、どのような知識を使い、どのように考えるのか。
その道のベテランには「決まりきった手続き」として、その過程が知らず知らずのうちに身に付いている。

知らず知らず身に付くものだけに、その世界を知らない人と話すときには、注意が必要となる。自分が話している内容のなかで、どこまでが「内部的プロトコル」なのか、どこからが「一般的にも理解可能なこと」なのか、ちゃんと分かっていないといけない。
それはつまり、自分というものを客観的に理解しているか、ということだ。俺様中心の主観にどっぷり嵌まった態度では、外部に開いた話はできない。プロトコルを使いまくる(業界用語を頻発する)ことがカッコいいと思っているなど、論外だ。

つまり、プロトコルというものは、それを身につけること以上に、それをいつでも外せるものでなければならない。
A→Fが通じない、と思ったら、いつでもA→B→C→D→E→Fをきちっと出せなくてはならないのだ。
大事なのは、すぐプロトコルを外して一般的な話し方をできることと、自分がいま話している相手がどの程度のプロトコルを身につけているのかを瞬時に把握できること、だ。

医学用語で、「尋常性挫創」「鶏眼」「動揺病」とは、それぞれどういう症状か。
それぞれ、「ニキビ」「魚の目」「乗り物酔い」だそうだ。病状と原因を科学的に解明するだけが医者の仕事なら、専門用語だけを使った方が事実との誤差がなく、精確な情報を扱える。しかし、医者が相対するのは医学などまったく知らない一般人だ。そこで、医学用語的プロトコルをはずし、一般人にもわかる言葉で説明しなくてはならない。

大学で講義するときには、中・上級向けの応用講座を教えるよりも、1年生向けの入門の授業のほうが難しい。上級者に話をするときは、その分野での一般常識、基礎知識、専門用語などのプロトコルをばんばん使って説明して構わないが、初級者にはそのプロトコルが通じないからだ。だから、「誰にでも分かる言葉で、わかりやすく、1から積み上げて説明する」という能力が必要になる。
その能力は、本質的に、その分野の中で必要とされる能力とは別種の能力だ。たとえ専門分野で優秀な研究業績をあげている人でも、一般人や初級者に対してプロトコルを外せない人がいる。「枠の中での能力」と、「枠の外の視点から枠の内部を描く能力」は、別なのだ。著名な大学教授でも講義が下手な人が多いのは、そのためだ。


「情報化社会」などという実体のない言葉が現代の特徴として取沙汰されるとき、それを肯定的に捉えようと否定的に捉えようと構わない。しかし一体、何をもって「情報化社会」と云うのか。
携帯電話やインターネットの発展・普及ごときでは「情報化社会」とは言えない。本当の情報化社会とは、専門分野が分岐しすぎ、それぞれの分野で研究や技術が発達し、「プロトコル」というパッケージを使わなくては意思伝達が難しくなっている社会のことだと思う。その分野にいる人にしか分からない言葉が氾濫する世の中が、情報化社会の行く末だろう。
そんな中、専門用語をやたらと使いたがる軽薄な人というのは、情報化社会に対応している人とは言えない。外部から見る視点を失わず、自分の置かれた立ち位置と、「外側の人たち」との距離感を正しく把握できている人が、真の「情報化社会に対応できている人」ではあるまいか。



家電量販店の販促員の、家電の性能を説明するときの説明力ときたら

「ウチの子は英検1級合格、バイリンガルです」キリッ

バイリンガル




小6が英検1級合格 札幌の嶋崎さん 道内最年少 「将来は通訳に」



札幌市豊平区の小学6年生嶋崎江美さん(12)が、道内の小学生としては初めて英検1級に合格した。日本英語検定協会によると、記録が残る1989年以降、道内の1級合格者の最年少は中学2年生で、嶋崎さんは記録を更新した。  

6~7月に行われた1級の試験は全国で7878人が受験。合格者800人のうち小学生は5人だった。  

嶋崎さんは、「バイリンガルに育てたい」という両親の意向で、3歳の時、主に外国籍の子供が通う北海道インターナショナルスクール(豊平区)に入り、計8年間通学。授業は英語で行われる。  

英検には、小2のとき初めて挑戦し2級に合格。小4で準1級に合格した。1級は今年1月に受験して不合格だったが、2度目の挑戦で合格した。  

「将来は通訳になって世界を飛び回りたい」という嶋崎さん。英検のため特別な勉強はしていないが、読書が好きで、人気シリーズの「ハリー・ポッター」など洋書を1~2日1冊のペースで読み、この6年間で約千冊を読破した。語彙(ごい)力をつけるために昨夏からは毎日、英字新聞を読んだという。



「バイリンガルに育てた」というのなら、まず日本語で書いた作文を読ませてもらおうか。
英字新聞を読んでいるというのなら、記事に対する論評でも書いてみせい。




英語ができたら何なの?

トイレで困ってるのか

かみ





日本新聞協会:加盟103紙が一斉広告 紙の価値再発見



日本新聞協会の加盟新聞103紙は27日、特別企画として、紙の価値を再発見してもらう広告「紙があって、よかった。」を北海道から沖縄県まで一斉掲載した。加盟社が同一日に同じ広告を一斉掲載するのは、3月29日朝刊の「住宅エコポイント」などを伝える広告に次いで2回目。

今回は、漫画家の手塚治虫さんの未発表作品の下描きと、野口英世博士の母シカさんの手紙を紹介。下描きは、手塚さんが思いついたことを即座に紙に描きつけたという。手紙は、渡米中の野口博士に会いたい一心で、シカさんが子供のころに学んだ文字を思い出しながら「早く来てくだされ。一生の頼みです」と訴えたもの。新聞協会は「紙だから伝えられる人の思いがある。想像力をすぐに形にできる紙特有の価値を再認識してほしい」と話した。



11 : 三菱電機社員(茨城県):2010/08/28(土)
手塚治虫や野口英世には、紙以外の選択肢がなかったじゃないか


12 : 理容師(アラバマ州):2010/08/28(土)
シカさんもiPhoneでメール打てばすぐ野口英世に伝えられたのにな


19 : ハローワーク職員(西日本):2010/08/28(土)
ネット関係なく年寄りも新聞を読まなくなってるよな


20 : 建築物環境衛生”管理”技術者(ネブラスカ州):2010/08/28(土)
トイレに新聞置いとけばいつかこう思う日が来るかもしれないな


21 : 彫刻家(滋賀県):2010/08/28(土)
環境のために紙をつかわないほうがいいのでは?
いままでさんざんエコと煽ってきたでしょう?
自分たちはエコから対象外の特権意識でもあるのか?


58 : 写真家(アラバマ州):2010/08/28(土)
いつもエコエコ騒いでんだからエコのために紙媒体なくす流れはコイツラも望む所だろ


88 : 運用家族(石川県):2010/08/28(土)
つーか新聞をまったく見てない層に購読してもらえるよう仕向けなきゃならんのに
新聞に広告載せてどーすんだよ
誰も見てねーよ



107 : 通信士(岩手県):2010/08/28(土)
こういう事を言い出すってことは末期症状。


134 : 建築物環境衛生”管理”技術者(京都府):2010/08/28(土)
日経の電子版が出来てから、ネットで購読してるから新聞はいらない。って
断りやすくなった。これ言うと新聞勧誘のオッサンが困惑して面白いw


329 : 建築物環境衛生”管理”技術者(神奈川県):2010/08/28(土)
エコエコと煽っておいて自分達が被害被りそうになった途端に手のひら返しか


398 : カーナビ(アラバマ州):2010/08/28(土)
新聞は情報売りだから媒体は何でも良いのに



紙媒体は必要だと思いますが、それは単なる情報以外の価値があるものになるかと。

ペンギングッズ

かねてから念願のお店に行ってきました。


pensta


じゃーん。
東京駅八重洲南口改札内、Pensta。 



関東近県以外にお住まいの方にはローカルネタになってしまって申し訳ないですが、JR東日本は自動改札用にSuicaというICカードを使用しています。
最近ではJR北海道のKitaca、JR東海のTOICA、JR西日本のICOCA、JR九州のSUGOCA、私鉄各社のPASMOなどと相互利用が可能になっております。
日本を訪れる外国人観光客の、秘かな売れ筋のおみやげでもあります。



suica


Super Urban Intelligent Card の略称。 




あ、ちなみにこのペンタンはアデリーペンギンです。
そこのところ間違えないようにお願い致します。 


 で、このデザインに使われているペンギンは様々なキャラクターグッズがありまして。
東京駅構内にあるPenstaこそ、そのグッズを専門的に扱っているお店なのですよ。
ちなみに、しえらさんのBlogによりますと、このペンギンキャラクターをデザインしたさかざきちはるさんは、今年の2010年千葉国体のマスコット「チーバくん」の作者でもあるとのこと。


というわけで、ペンギングッズを仕入れにいざ東京駅へ向かいました。
ペンギンで彩られた各種グッズに鼻血を出して興奮していましたら、嫁から「欲しいだけ買ってあげるという、何とも大興奮のお達しを頂きまして。
しばらく店頭をうろうろしておりました。

結局、ステンレスマグを含め、数々の文房具を購入して意気揚々と引き上げました。
大学の後期の授業が始まったら、授業に持って行く飲み物はこれで持参しようと思います。
ビバ、ペンギンストア。



JR東日本の各種広告に登場し「ペンギンの時代到来」を感じさせます。

出会いのチャンス

恋人のつくり方について訊かれることが多い。
結婚していると、そういう面に一家言あると思われるのだろうか。 


研究会や学会などで大学院生のみなさんと話をする機会がある。僕もつい数年前まで大学院生だったので、彼ら彼女らが日々、不安に思っていることはよく分かる。
将来についての不安。
自分の能力についての不安。
そして、結婚できるかどうかの不安。

最近、大学院生のみなさんから「彼氏(彼女)がいないんですけど、どこかにいい出会いってないですかね?」と訊かれることが増えてきたような気がする。どうも僕は、院生の方々に、そういう話題を振りやすい人間と思われやすいらしい。
本音としては大学院にそんなものあるかヴォケというところなのだが、正直にそう言うわけにもいかない。

最近、「婚活」という言葉がありますな。
どうも、結婚しようと思って努力している方々が多いそうな。若い世代が中心だそうだが、バブル世代の生き残りのような40代後半でも婚活に励む人が多いとのこと。 

そんなに経験豊富でもない僕が物申すのもおこがましい気がするが、僕の見るところ、そういう「出会いが少ないんです」という人には、共通点があるような気がする。
出会いが少ないのではなく、ものすごく狭い範囲でしか出会いを探していないのだ。

行動範囲の話ではない。精神的な範囲とでも言おうか。
「恋人がほしいのになかなか出会えない」という人に、「どういう人と付き合いたいの?」と訊くと、ほとんどの人が大同小異のことを条件として挙げる。具体的にはいろいろあるが、要するに「今の自分の生き方は変えたくない。自分の人生をそのまま受け入れてくれる人、あわよくば今の自分の生き方に有利に働く人と付き合いたい」ということだ。 
 
人が人とつきあう際には、それまでの自分のスタンスや考え方をまったく変えず、相手が自分に合わせてくれることを期待するような態度では、長続きしない。
もともと他人なのだから、価値観も考え方も、違っていて当たり前だ。そういう「自分とは異なる要素」を、自分の中に取り込み、それに合わせて自分が変わって行くことを楽しめるような感性がないと、人生の伴侶は得られないと思う。

つまり、「出会いがない」のではない。「出会っているのに、それが見えていない」のだ。
「いつか素敵なチャンスが来ないかなぁ」と思っている人には、チャンスは決して廻ってこない。今、自分が置かれている状況を「これがチャンスなんだ」と気付ける人が、幸せを掴むのだと思う。青い鳥の話は本当なのだ。

恋人ができない人というのは、無意識のうちに、自分の生き方に合致しない人を、ことごとく「候補者」から除外している。まだ自分というものが固まっていない学生に恋人ができやすいのは、そのためだ。大学を卒業し、自分の望む進路を設計していくにつれて、道は細くなる。その同じ道に乗っていない人をことごとく「予選落ち」にしてしまう。

大学院生など、「細い道」の最たるものだ。大学生が片側4車線の大通りとすると、大学院生など平均台程度の道幅に過ぎない。同じ道に乗ってる人、自分がその道から一切外れずに出会える人など、そうはいない。
それは単に環境の問題というより、多分に心理的な問題だと思う。自分と異種の環境、異種の価値観、異種の感性に対する拒否感を少しでも減らせば、いわゆる「出会いのチャンス」なるものは格段に増えると思う。

どうしようもない環境的な要因で頑張らないと合わせられない人は、ちょっと遠すぎる。自分とぴったり合う人はなかなか見つからない。視点を遠すぎず近すぎず、自分の人生を守りに入らなければ、視野が広がる。
出会いのチャンスは、「いかに自分とは異なる要素を自分に取り入れることができるか」という、人としての柔軟性に拠ると思う。それまでの自分にないものを拒絶せず、受け入れることによって自分が変わっていく。そういう過程を楽しめる感性の人は、広い範囲で出会いのチャンスを見出せる人だろう。


それともうひとつ。
「出会いが少ない」という人の共通点として、「人との関係は双方向的なものだ」ということを失念しているような気がする。

相手から異質のものを吸収し自分を変えていけることが重要であるように、自分の中にも、相手に対して寄与できるものがなくてはならない。相手から見て、「この人、自分とはちょっと違うけど、この人と付き合っていくと自分は良い方向に変わっていける」と思わせられるものがなくてはいけない。

彼氏、彼女ができない人に、「どういう人がいいの?」と訊くと、条件をすらすら並べる人が多い。
しかし、「あなたと付き合うと、どういういいことがあると思う?」と訊くと、並べられる人が少ない。

試しに、「自分がデートをプランすると、どういう所に相手を連れて行ってあげたいか?」と考えてみる。ディズニーランドとか映画とか、一般性の高いものはことごとく却下。「この人と付き合わなければ、自分は一生こんなところに来なかっただろうな」と思わせる場所でなければならない。それはすなわち自分の興味と価値観の反映であり、その魅力をどれだけ熱く語れるかどうかが、その人が「もっているもの」の証左となる。

そういう要素のことを、「個性」というのだろう。一般的に「個性」とは、他の人とは違う、オリジナリティー溢れる、エキセントリックなイメージとして捉えられているような気がする。しかし、個性とは何も常識破りの型破りとは限らない。他の人は同意しないかもしれないが、自分なりに生きていくうえで柱となる、ものの考え方や価値観の体系のことを指す。夢中になって取り組んでいる世界がある、そういう生き方が、人の「個性」を作り上げる。

人を惹き付けるには、この「個性」がなによりも必要なのだと思う。それを時間をかけて育んでいる人は、人生の作り方を知っている。自分という人間の育て方を身につけている。そういう人の人生の作り方、ものの考え方は、たとえ自分とは違うものであっても、参考になる。「この人の生き方をもっと知りたい」と思わせること、それが「相手に寄与できるもの」の正体だろう。

彼女ができない、彼氏ができない、とため息をついている人は、まず自分をつくりあげていないのではあるまいか。別にインパクトのある特殊なものである必要はない。自分なりに自分を作り上げ、好奇心を失わず、興味の対象をつねに広げる構えをとっていれば、今まで人の見えていなかった部分が見えるようになる。
出会いというのは、環境で決まる「少ない」「多い」ではなく、自分の中の吸収力を上げることによって得られるのだと思う。



出会えるときには地球の反対側でも出会えるんです
ペンギン命

takutsubu

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