スタンプラリーがやりたい。



秋のはじめとなりましたが、暑さが残る今日この頃、みなさまいかがおすごしでしょうか。
ワタクシめは大学の新学期がまだちょっと先なので、夏休みの続きを満喫中であります。

夏になるとあれですな、各公共交通機関がこどもたち向けのスタンプラリーをいろいろと実施しておりますな。
大体、そういうのに熱中するのは男の子だそうです。「すべてをコンプリートして集める」「夏の暑さをものともせずに動き回る」「何の得にもならないことに熱中して手段が目的化する」というのは、どう考えても男の子向けのイベントでありましょう。同伴するご両親諸氏におかれましてはお疲れさまです。

さて、かつての男の子としては、この夏にいっちょスタンプラリーを完遂してみようか、と思い立ちました。
こちとら手段も時間も金もある大人です。本気になってとりかかればスタンプラリーなど1日でコンプリートなのであります。

僕は電車好きですので、普段は乗らない路線でスタンプラリーをやってみることにしました。
ターゲットは都電荒川線。東京の都心を走る唯一の路面電車です。三ノ輪橋から早稲田まで、東京東北部の下町情緒溢れる界隈を走ります。


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いかにも地元的な乗り物。 


この路線沿線は、『こち亀』でも両津勘吉の地元、「東京の下町情緒を伝える街」として頻出する地域です。ちょうどこち亀も連載終了が決まったことですし、記念がてら乗ってみることにしました。

都電荒川線のスタンプラリーは9カ所。駅ではなく、路線に近い地域のランドマーク的なところにスタンプが設置してあります。
スタンプラリーの台紙には、周囲のおすすめスポットなどが紹介されており、僕のような大人がぶらぶらと街歩きをするのに非常にぴったりの企画になっています。スタンプも他の鉄道会社のようにアニメのキャラクターなど一切使わず、チェックポイントも寺社や公園など、渋いチョイスになっています。こりゃ子供向けというよりも、僕みたいな大人を対象としてるんじゃあるまいか、と思ってしまいます。

で、実際に三ノ輪橋から都電に乗ってみたんですが。
「渋いチョイス」の理由がなんとなく分かりました。

とにかく、乗客に高齢者が多い。
始点の三ノ輪橋から乗った乗客は、僕以外は全部後期高齢者の方々ばかりでした。席を譲らずに座席に座っていると、そこはかとない罪悪感を感じます。

都電荒川線は、地元の方々が多く使用する路線のようで、普段のお買い物や近所の用事程度の出歩きにも、普通に使われる路線のようです。なんかみなさん普段使いに乗っていらっしゃる。
ワタクシのような若輩者の一見さんといたしましては、こうした地元の方々のお邪魔にならないように、端っこのほうにこっそりと乗せていただくのが仁義でありましょう。



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(1) 三ノ輪橋駅
都電荒川線の始発駅です。もちろんターミナル駅です。ターミナル愛好家としてはぜひとも押さえておきたいスポットであります。
接続は、地下鉄日比谷線の南千住駅が便利です。この界隈は松尾芭蕉が奥の細道へと旅立った始点として知られており、近所の素盞雄(すさのお)神社には芭蕉の句碑がありました。


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見よ、この堂々としたターミナルっぷり。 


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現役でお仕事中の看板の大先輩のみなさん 




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(2)荒川ふるさと文化館
荒川区の歴史、文化を展示してある博物館です。地域文化の保存館としてはかなりレベルの高い展示がありました。入館料が100円というところも良心的。子供の夏休みの自由研究ではかなり重宝しそうです。
館内には、荒川区で出土した遺跡・遺品のほかに、昭和当時の街並を再現したコーナーがあります。


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こういうの大好きなんですよね 



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ジョイフル三ノ輪商店街。「ザ・昭和」の趣きが満載。 



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(3)あらかわ遊園
こち亀などで、名前だけは聞いたことあるけど実際には行ったことがない遊園地。荒川区のこども達はここが人生初の遊園地のでしょうか。
東京23区内で唯一の公営遊園地です。入園料が大人200円、子供100円というのがすばらしい。こども同士で遊びに行くにはこのくらいの遊園地が最適なんじゃないか、と思います。いきなりディズニーランドとか行くな。のちの人生の楽しみ方の大事な部分を失うぞ。


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プールは8月31日まで。夏休みは子供で一杯だったのかな。 



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(4)都電荒川電車営業所
都電荒川線の車両基地です。車両基地とあらば是非とも寄らねばなりますまい。
近くには「都電おもいで広場」が併設されていて、懐かしい停留所を再現して、旧型車両が展示されています。


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パン屋さんまで下町風。 



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(5)音無親水公園
都電の「王子駅前駅」で降りてしばらく歩くと、石神井川沿いの木立に囲まれたところに音無親水公園があります。木々に囲まれて水が流れているため、とても涼しい所です。のんびりと文庫本を読みふけっている学生さんらしき人達がちらほらいっらっしゃいました。僕もここで足を冷やして、のんびり休憩しました。

そういえば余談なんですが、都電荒川線には「王子駅前駅」「大塚駅前駅」というのがありまして、それぞれJRの王子駅、大塚駅と接続しているんですが、駅の名前が「○○駅前」っていうのはどうなんでしょう。それ自体が駅でしょうに。



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(6)飛鳥山公園
王子駅の西側に広がる大きな公園です。「紙の博物館」「北区飛鳥山博物館」などが併設されており、そんじょそこらの公園とは格が違います。
公園広場には、いまどき珍しい大型遊具が並び、D51型機関車などが遊具として無造作に置かれています。子供が一日遊べる公園といえましょう。


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俺が子供の頃だったら絶対に主になってる。 


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公園とはこうでなくてはならない。 



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(7)雑司ヶ谷鬼子母神堂(法明寺)
雑司ヶ谷、怖いです。池袋にありながら、ちょっと街並が周りと比べて5度くらい涼しくなった感じがします。夜とか絶対に一人で歩けない。
都電の雑司ヶ谷駅を降りると、いきなり雑司ヶ谷霊園の入り口があります。そこからちょっと歩くと、鬼子母神堂のある法明寺まで参道が続いています。


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お祓いしてから行った方がいいかなぁ。 


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こんな所まで来てやるんじゃねぇよ。 



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(8)早稲田大学
都電の終点駅、早稲田駅の近くにある大学です。実はまだ一度も行ったことがなかったんですよね。嫁の出身大学で、話には何度も聞いたことがあるので、なんか始めて来た気がしません。
校内は広いので、油断すると迷子になります。早稲田大学には、JR高田馬場駅、東西線の早稲田駅、都電荒川線の早稲田駅が最寄り駅ということになっていますが、実際の大学の目的地にたどり着くにはそのどの駅からも遠い、という構造になっています。


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(9)早稲田駅
都電のもうひとつの端のターミナル駅です。都電の線路は新目白通り(都道8号)の真ん中をぶっちぎって通っていますので、大通りのど真ん中にいきなり駅があります。駅から降りると、まるで中央分離帯の真ん中に降り立つような感じになります。


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なかなかのターミナルっぷりだ。 



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大人の本気をもってすれば、このくらい楽勝なのだ。 



季節に一度くらいはこういう遠足してみたいですね。