ダイエットのコツを伝授します。ブタ



メモの用意はよろしいか。



僕は今年になって初めてダイエットらしいダイエットをしてみたんですが、別に無理も苦行もすることなく、あっけなく体重が落ちました。3ヶ月で8Kg、ストンと落ちましたよ。なんだ簡単じゃん。

よく女の子で「ダイエットしてるんだけど体重が落ちない」と言ってる子がいるが、僕から見れば、そういう子たちはダイエットをしているうちに入ってないと思う。本気でやっていないか、やり方を間違えているのか、どちらかではないか。


えーと


どうも、ダイエットがうまくいかない人の共通点として、「よし、体重を落とそう」と思ってやることの第一歩が、食事制限であるような気がする。

「甘いものを控える」「塩分を控える」「肉を摂らない」「野菜中心の生活にする」「果物を食べる」「インスタントものは食べない」など、確かにどれもダイエットには必要なことだ。これらのことは、どのみち必要になる。しかし、どうもダイエットがうまくいかない人は、これらの食事制限をまず最初に持ってくることがいかんのだと思う。

たとえば、「甘いものを控える」。これを実践しようとして、「んー、これ食べたいんだけど、いまダイエット中だからガマン」などとやっているうちは、絶対にダイエットは成功しない。人間はつらいことを続けられるようにはできていない。食べたきゃ食べればいいのだ。苦行はどのみち破綻する。

ダイエットすることに必要なのは、「まず食事制限」なのではない。
極論すると、ダイエットのために必要なことは


「毎日の運動」走る

「早寝早起きの生活習慣」山太陽



のふたつだけと思う。


僕が思うに、ダイエットがうまくいかない女の子というのは、まず運動をしていないのではないかと思う。体を動かし、その疲れで夜は早く寝る、という生活のサイクルを作ってしまえば、体重は勝手に落ちる。

それに対するよくある理屈として、「普通に食事して運動でカロリーを消費するのと、最初から食事を減らして摂取カロリーを抑えるのとでは、結果として同じだ。運動するのはダルい。よって食事を減らす方がラクだ」というのがある。
僕は、これが大間違いだと思う。


ダイエットにおいて、運動とは、カロリーを消費するためにするのではない。


僕は、食欲には「健康的な食欲」と「不健康な食欲」のふたつがあると思う。スポーツや仕事による肉体疲労で引き起こされる食欲は、「健康的な食欲」だ。このときに食べるごはんはとてもおいしい。

僕の経験では、「健康的な食欲」のときには、何をどれだけ食べても太らない。僕も高校生の頃は、おかずに肉満載の弁当箱を2つ持っていってた。中高生の男子諸君がアホみたいに肉ばかり大食いしても太らないのは、彼らの食欲が部活やスポーツによって引き起こされる健康的なものだからだ。

しかし、ワレワレ大人は中高生のように、恒常的に体力の限界まで体を動かす生活をしているわけではない。つまり、カロリーはそれほど必要ない。そういう生活のなかで、体に負担がかからない程度の適度な運動をする習慣があると、甘いものや肉はあまり欲しくなくなる。体が必要としていないからだ。そのかわりに、果物や野菜などのさっぱりしたものが欲しくなる。

つまり、ダイエットのコツとは、「甘いものはガマンする」のではなく、そもそも甘いものなど欲しくない体を作ることにある。嫌々ながら野菜中心の生活にするのではなく、野菜が食べたくなるような生活習慣をつくるのだ。


運動やスポーツとは、そのためにするものだ。


人間の健康的な生活の基本は、お日さまと共に生活することにあると思う。根拠も何もなく非科学的だが、夜10時に寝て朝5時に起きる生活をして、午前中のうちに負荷のかかる仕事を片付けてしまうと、おやつなど全然欲しいとは思わない。逆に真夜中に徹夜して仕事をすると、どうしても夜食やおやつが欲しくてたまらなくなる。

思うに、夜中に仕事をするというのは、生体のリズムにかなり無理がかかっているのだと思う。人間はもともと夜行性にはできていない。その無理をするために、余計なエネルギーを体が欲するのだと思う。徹夜のときにやたらと夜食がほしくなるのはそのためだ。

食欲のもうひとつ、「不健康な食欲」とは、こうした「生体にそもそも備わっているリズムを狂わせるような、乱れた生活習慣がひきおこす食欲」だと思う。夜中にものを食べると太る、というのはすでに通説となっていると思う。だったら、早く寝ればいいだけのことだ。

また、「不健康な食欲」は、精神的な疲労によっても引き起こされる。いわゆる「やけ食い」「憂さ晴らしの食い放題」がこれに当たる。こういうときには、味の濃いもの、肉、甘いものがやたらと欲しくなる。これらがダイエットに悪いのは言うまでもない。

休日に外に出ずに一日中家でゴロゴロしてると、頻繁に何か食べたくなる。やたらとおやつをつまみたくなる。冷蔵庫をゴソゴソと漁りだす。これなども「不健康な食欲」のひとつだろう。ゴロゴロしている代わりに外に出て30分ほどジョギングしてくると、おなかがすいたことには変わりないが、食べたいと感じるものが違ってくるはずだ。

逆説的なようだが、運動をする習慣をつけると、あまり肉が食べたいとは思わなくなる。スポーツで気持ちよく疲れた後には、タンパク質よりも果物のほうが効く。塩分も欲しいとは思わない。なるべく「不健康な食欲」を感じないようにし、3食のごはんは「健康的な食欲」でいただけるようにすれば、ガマンや無理をしなくても体重は勝手に落ちる。

レストランのメニューには、各メニューのカロリーが明記してあるものがある。「ダイエットしてるからなぁ」などとカロリーの数値を気にして選んでいるうちは、ダイエット成功とは程遠い。「その時に食べたいものを自然に選んだら、ことごとくカロリー値の低いものだった」という状態が理想だ。健康的な生活をしていれば、そうそうこってりした味のものなど欲しいとは思わない。


一般化として、「肉体的な疲労」が欲求する食べ物は健康的で、「精神的な疲労」が欲求する食べ物は不健康だと思う。ダイエットにとって、運動とは単なるカロリー消費の手段なのではない。食べ物の好みと、食生活を健康的につくりかえるためのものだ。ダイエットするときに食事制限は最初にとりかかるべきことではない。「運動と早寝早起きをしたら、勝手に食事の好みが変わってた」というものだと思う。

別にダイエット中にアイスクリームを食べても全く構わない。たまには食べたくなることもあるだろう。人の体重は1食2食のアイスクリームごときで簡単には上下しない。しかし、「ダイエット中なのー」とかほざきながら、毎日夜更かししたり、全く運動をしていなかったりだと、そりゃ体重は減らんだろう。


ダイエットに限らず、ある目標を達成したいときには、ただ曖昧な目標を掲げるのではなく、目標を毎日行う具体的な行動に還元するのがコツだと思う。ダイエットをしようと思っても、思うだけでは何もしていないのと同じだ。「食べる量を減らそう」「甘いものを食べない」というだけでは、何も具体的な行動が無い。人の意思はそんなに強くできていない。

一方、「早起きする」「運動する」というのは、否応なく習慣として行動を起こさざるを得ない。アタマで決意するだけではなく、カラダに習慣を叩き込むことによって、より「自分はいまダイエットをしている」ということが意識として深く浸透する。

たとえば英語を勉強しようとして街の英会話学校に通うとする。僕も経験があるが、英会話のカリキュラムというのは、実は自学自習可能なものだ。内容そのものには、通うほどのことはない。NHKのラジオ講座で充分替えが効く。しかし初学者にとっては、「毎週クラスに顔を出す」という習慣には意味がある。「実際に英会話に足を運ぶ」という具体的な行動が、勉強の意思を強くする働きがある。

人は何かを頭で認識しているだけでは、たいしてアテにならない。体で実際に行動しないと深層心理に効かない。有事に備えて避難訓練をするのはそのためだ。避難経路の地図を見て「よし、わかった」と思うだけでは、実際に火事になりパニックになったときに、すべての記憶が吹っ飛んで真っ白になる。一方、自分で実際に避難路を歩き、ドアを開け、出口まで辿り着く経験をすると、その経路は絶対に忘れない。ダイエットも同じことで、「ダイエットしよう」と思っているだけでは効果は全くないに等しい。毎日の行動を具体的に起こさないと、絵に描いた餅に過ぎない。


「痩せたいんだけどダイエットがうまくいかないのー」という女の子に何かアドバイスするとしたら、「ダイエットを始めればいい」の一言に尽きると思う。ダイエットとはもともと「ものを食べないこと」ではなく、「健康的な食生活」という意味だ。そもそも食事を減らすなど不健康にも程がある。痩せたとしてもそれで体調を崩してしまうのでは、本末転倒もいいところだ。そうなるとデブより始末が悪い。 



食べたいもの食べりゃいいんです。食べたいものの質を変えられれば勝ち。