ネット脅迫:掲示板で家族評論家を攻撃 東京の会社員逮捕
(毎日新聞)


インターネットの掲示板「2ちゃんねる」に評論家の池内ひろ美さん(45)を脅す内容の書き込みをし、池内さんの講座を中止に追い込んだとして警視庁捜査1課と目白署は27日、東京都日野市三沢1、会社員、小林一美容疑者(45)を脅迫と威力業務妨害容疑で逮捕した。「(ブログ=日記風簡易型ホームページ=の内容が)批判されているのに謝罪しないので腹が立った」と供述している。

 調べでは、小林容疑者は昨年12月20日、自宅のパソコンから「一気にかたをつけるのには、文化センターを血で染め上げることです」「教室に灯油をぶちまき 火をつければ あっさり終了」などと2ちゃんねるに書き込み、池内さんを脅迫。同日午後に名古屋市内の文化センターで予定されていた池内さんの教養講座を中止させた疑い。

 池内さんは「夫婦・家族問題評論家」。昨年10月、自らのブログで、居酒屋で居合わせた男性客との会話を紹介。この内容の一部がネット上で問題にされていた。

 毎日新聞の取材に対し、池内さんは講座を中止した理由を「参加者に何かあったら取り返しがつかない」と説明。「ネット上で議論するのは結構だが、匿名で脅迫するのは許せない。詳しい動機は分からないが、私のブログが発端でこのような事件が起きたことは大変遺憾」と話した。



騒ぎの元となった記事は↓こういうの。
ちなみに現在はBlogそのものが閉鎖に追い込まれた模様


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評論家池内ひろ美ブログ 「職業差別」で炎上


評論家の池内ひろ美さんのブログが「炎上」している。トヨタ自動車の期間工について書いた日記の中で、「彼らは『トヨタ』を漢字で書くことができるのだろうか」などと発言したことが、発端だ。現在では該当する日記は削除されているが、その前日に池内さんが書いた日記のコメント欄に批判のコメントが殺到している。

問題となったのは、池内さんのブログ「池内ひろ美の考察の日々」のなかの「期間工(トヨタ)」と題された06年10月19日の日記。名古屋で池内さんが「会社経営者」「医者」の友人と居酒屋に行き、そこで出会ったトヨタ自動車の期間工(期間従業員)とのやりとりが書かれている。それは次のような内容だ。

「彼らは、なぜ私たちに声をかけたのか。『お姉さんたちって、なんか儲かってそうじゃないですか。僕たちは今、飲みながら、いったい何をやったら儲かるのかって話してたところだったんで』へえ。そうですか。(中略)でもね、同じ居酒屋で隣り合って飲んでるわけだから、あなたたちが自らを卑下するほどには、私たちも豊かではないと思うよ。(彼らは『トヨタ』を漢字で書くことができるのだろうか、と、ふと思いつつ)」
「強く言葉を発したのは経営者の彼女である。『向上心がなくて勉強もせず、平日の早い時間から連日飲んでいる男の子なんて、うちでは絶対に雇わない。スタッフにはお願いして仕事をしてもらってんだから。お願いしたくなる子じゃないと雇わない!』そうだよね。彼らに年間300万円以上も払っているトヨタは偉い

この日記は06年11月18日以降に削除された模様で、現在では閲覧することはできない。しかし、削除以前には、この日記のコメント欄には「忠告」が書き込まれていた。

「先方の会社名を実名でブログに書いたりすると、容易に個人(期間工のことと思われる)が特定されます。(中略)私は少々怖がりなのかもしれませんが、池内さんだけではなく、池内さんの家族の為にも慎重になったほうがいいのかもしれません」

ネット上の現状からすると、ある意味適切なコメントであったが、池内さんは「削除」を拒否した。

「・・なるほど。そういう時代なんですね。私も怖がりです。でも発言しなければならないことは発言します。この記事の場合は、企業名を伏せると意味が通らなくなりますし、『企業側が雇用すべくはたらきかけても、継続して勤務をすることができない若者』の問題が大きいと感じています。これは日本の将来に関わる大きな問題です。したがって、この記事は削除しません

と06年10月23日に返答している。

しかし、結果的に池内さんは該当する日記を削除。06年11月18日には「評論家の池内ひろ美さん、期間工はトヨタを漢字で書けるのかと侮辱→記事削除」と題されたスレッドが、ネット上の掲示板2ちゃんねるに立てられ、06年11月20日夕方時点でその数は5に上っている。

殺到したコメントは、批判や罵詈雑言などがほとんどで、06年11月20日夕方時点で1,000を超えた。なかには、コメント欄には「期間工」だという人の批判のコメントもある。

トヨタはトヨタかTOYOTAです。漢字はありません

「職業差別って楽しいですか 人を卑下することって楽しいですか 虐めってなんかこう自尊心が蘇ってくるんですよね」

「日頃から色々な職業の人間を馬鹿にしてそうですね」

「あなたには必要ない人間かもしれないですがトヨタには必要な人間だからトヨタは300万以上払っているのでは?そもそも その言い草が失礼なんでは?」

「ネットという公の場であれだけの差別発言をしておいてなんの釈明もなさらないのですか?」

といったもので、期間工に対する池内さんの発言が「職業差別」と捉える見方が大勢だ。

投稿されたコメントの表示は19日夕方の時点で停止している。



脅迫をした東京都日野市三沢1、会社員、小林一美容疑者(45)は論外。
法的に犯罪であることもさることながら、見ず知らずの他人のBlogの記事に腹を立ててるほど暇なのだろうか。


騒動の元となった記事に、本当に職業差別の意図があったのか否かはさしたる問題ではないと思う。僕は「評論家」なる仕事が何をする仕事なのかさっぱり分からないが、少なくとも言論に基くプロの仕事である以上、「差別」の烙印を押される危険性のある記事を安易に公表するのは脇が甘すぎると思う。簡単に付け入る隙を与えるようでどうする。

問題となったBlogの記事を読む限り、その書き方が、本人が提言したかったことを論じるための最善の方法だとは思えない。同じ問題を扱っていながら、読者を唸らせるような他の書き方くらい、いくらでもある。

書き手本人にはその意図がなくても、読者が差別的意図を感じてしまう記事というのはある。要するに書き手の技量が低い。差別意識はかなりデリケートな問題だ。そういう誤解を招くような書き方をしておいて「差別は意図していません」などと釈明するというのは、自分の文章力の低さを認めるようなものではあるまいか。



本当に優れた書き手は誤解されるような書き方はしない