「ペンは剣よりも強し」

わははは。ウソをつけ。
だったらためしに戦ってみろ。

ある大手新聞社の入社試験で、「ペンは剣よりも強し」という題で作文を書かせたそうだ。試験を受けたほぼ全員が必死になって「ペンはいかに剣よりも強いか」を論じており、逆に「実は剣のほうが強い」ということを書いた受験生はひとりもいなかったという。採点官はうんざりして、「剣のほうが強い」ということを書いた受験者がいたら、もうそれだけで2次、3次面接を免除して採用したくなったらしい。

歴史を紐解くまでもなく、焚書坑儒をはじめとして文筆が権力に屈した例は数限りない。現在では世界最高の水準を誇るドイツ医学界さえ、20世紀前半には権力に屈し、「人間の能力の優劣比較は民族間の相違に基づく」という遺伝子学の見解を取らざるを得なかった暗黒の時期がある。

ことわざというのは、世の中の真理を表すものでは決してない。
「二度あることは三度ある」
「三度目の正直」
どっちだ。
「ペンは剣よりも強し」という言葉は、「こういうふうにできている」と世の中を喝破したものではない。そうではない世の中を憂い、「こうあれかし」という願望をこめたものだ。

よく教訓話で偉そうにことわざを引用する手合いがいるが、よく内容を検証してみると、ことわざの使い方で論理的に破綻していることが多い。有能な社員としては、社長の訓示に内在する論理の破綻をその場で指摘し、社長に一回り大きく成長して頂くに如くはない。クビの危険など顧みてはならない。

個人的に好きなことわざは「二階から目薬」である。
場面を想像しただけで爆笑できる。