たくろふのつぶやき

毎日がエブリデイ。

ラグビーW杯 プールA 日本 vs サモア

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ラグビーワールドカップ プールA
日本 38-19 サモア


日本が予選プール3連勝。初の決勝トーナメント進出に大きく前進した。
結果だけ見れば楽勝に見えるが、苦しい試合だった。日本のゲームプランをなかなか実践できず、もどかしい時間帯が続いた。

何よりもサモアの修正能力が見事だった。サモアは「フィジカルが強い」とよく言われているが、実はプレイの精度が低いのが弱点だ。特に前大会からアンバインドタックルとハイタックルで反則をとられ、自滅することが多かった。今大会でもこれまで2試合で合計4枚のイエローカードをもらい、スコットランド戦ではレッドカードで退場者まで出している。

しかし日本戦では、その弱点を極力回避しようと策を練ってきた。サモアの防御に反則が多いのは、組織的なディフェンスよりも1対1の局地的なマッチアップに頼りがちな傾向があるからだ。敵の攻撃を前で止められず、後ろから追いかける形になることが多いので、いきおい首にタックルしてしまう。

その弱点を克服するため、サモアはディフェンスの仕方を変えてきた。具体的には、ラックを捨てるのが非常に早い。勝ち目のないラックをすぐに捨て、サイドディフェンスとラインディフェンスに人数をかける。これまでのロシア戦、スコットランド戦に比べると、日本戦のサモアの密集戦は非常に消耗度が軽い。それによって後追いのディフェンスを減らし、日本の縦攻撃を正面から受ける時間帯が長く続いた。

日本にとっては、そのサモアの守備は想定外だっただろう。FWで縦攻撃を続ければ、サモアの防御に人を巻き込める。そこで人数を減らして、BKの外展開を狙う、日本としてはそういう作戦だったはずだ。
しかし、攻めても攻めてもサモアの守備人数が減らない。相手が疲れない。試合後半になって疲労が激しかったのは、むしろ日本代表のほうだった。これは日本にとって、しつこい縦攻撃で相手ディフェンスの体力を削り続けた、ロシア戦とアイルランド戦とは逆の状況だ。


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日本が警戒しなくてはいけないことは、もうひとつあった。サモアFBのティム・ナナイ・ウィリアムズだ。
フィジカル系の選手が多いサモアにあって、ひとり突出してラグビーIQが高い。試合前の会見で日本代表のエディー・ジョーンズ・ヘッドコーチも、最も警戒するべき選手として挙げていた。キック処理に秀で、ディフェンスの指揮力が高く、エキストラマンとして攻撃参加する頻度も高い。今大会参加選手の中でもトップレベルのFBだ。

試合前半のうちに縦攻撃に活路を見いだせなくなった日本は、キック攻撃に切り替える。SO田村はハイパントを多用し、ボールを一旦イーブンにするリスクを犯しても陣地を進める戦術をとった。
しかし、このハイパントが全く機能しなかった。サモアのバックスリー陣は、ティム・ナナイ・ウィリアムズの指揮のもと、日本のハイパント攻撃によるコンテストボールをことごとく確保した。

大会開始後からずっと言われていることだが、今大会の戦術的傾向は、ハイパントだ。湿度が高く気温が高い日本での開催なので、体力のマネジメントにはキックが不可欠だ。全体の傾向として、セットプレーやサインプレー以外の「アンストラクチャー(秩序が乱れた状態)」からの試合運びがトライに結びつく傾向が多く、ハイパントはアンストラクチャーをつくりだす最も直接的な方法だ。

日本はハイパント攻撃をことごとくティム・ナナイ・ウィリアムズにキャッチされ、みすみす相手にボールを渡してしまう展開が続いた。しかしSO田村は、効果がなくても執拗にハイパントを蹴り続けた。これが試合後半になってボディーブローのように効いてくる。
サモアは、試合前半だけでティム・ナナイ・ウィリアムズを交代し下げてしまったのだ。後半になると、サモアのゲームプランが少しずつ狂ってくる。なぜサモアはティム・ナナイ・ウィリアムズを下げざるを得なかったのか。

やはりサモアの根源的な弱点が露呈された、ということだろう。前半24分に、サモアFLのイオアネが危険なプレーでシンビンを受けた。FWの枚数が削られたことで、サモアは全線のディフェンスにBKから1枚出さざるを得なくなり、後方の守備が手薄になった。
日本代表は、明らかにこのタイミングを狙っていたように見える。FW、BK両方の意思が統一されたかのように、ハイパント攻撃を一変させて縦攻撃に切り替えた。4分後、日本は最初のトライを取ることに成功する。

前半25分過ぎになっても日本のハーフバックス陣は、縦攻撃とハイパント攻撃を陣地によって使い分け、サモアのバックスリーにプレッシャーをかけ続けた。その結果、サモアFBティム・ナナイ・ウィリアムズが消耗してしまい、前半だけで途中交代せざるを得なくなった。
SO田村が執拗にハイパント攻撃を繰り返した理由は、競ってマイボールを確保するためではあるまい。後半になってサモアの体力が落ちてきたときにWTBで外勝負ができるように、サモアの守備の砦であるティム・ナナイ・ウィリアムズを削ることが目的だったのだろう。

その日本のゲームプランは、最後の最後で結実する。後半35分に左WTB福岡、試合終了直前の後半40分には右WTB松島が、それぞれ立て続けにトライを挙げた。これで日本は4トライを奪い、ボーナスポイント1点を獲得した。
試合としてはあれだけFW同士の密集戦が続きながら、4トライのうち2つは両端のWTBが取ったことになる。日本代表は80分をトータルに使い、「FWとバックスリーを地味に削り続けて、最後の最後で外勝負」という戦術がチーム全員に浸透していた。外側のWTBの決定力の高さを最大限に活かすために、80分かけて布石を敷いていた感じの試合だった。

結局のところ、サモアと日本の勝敗を分けたのは「戦術理解度」だろう。日本のほうが、極地的な部分だけでなく、80分トータルで試合を運ぶための意思統一ができていた。前回大会でも日本とサモアは予選プールで対戦し、そのときは日本が26-5で圧勝している。サモアはその時から4年間で進化してきたが、日本が積み重ねてきた進化のほうが勝っていた。そういう類いの勝利だったように見える。

これで日本は3勝を挙げ、プールAの首位に立った。最終戦のスコットランド戦に負けても、4トライ以上か7点差以内のボーナスポイントさえ得られれば決勝トーナメントに進める。しかし、今回の最終戦に関しては、そういう話ではあるまい。相手はあのスコットランドなのだ。前回大会で日本が唯一の負けを喫し、しかも10-45という惨敗だった。南アフリカ戦から中3日というハンデはあったにせよ、「奇跡の勝利」から気持ちを切り替えられず、世界の壁の高さを痛感した試合だった。今回の試合では、世界ランキングは日本が8位、スコットランドが9位。日本のほうが上ということになっているが、実際のところスコットランドはまだまだ日本にとって格上だ。「決勝トーナメントに進むため」だけでなく、前回大会の借りを返すため、日本代表の予選プール最終戦は気合を入れて臨んでほしい。



サモアの防御からは学ぶべきことが多かった。

ラグビーW杯 プールA 日本 vs アイルランド

 
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ラグビーワールドカップ プールA
日本 19-12 アイルランド


日本代表が、優勝候補の一角アイルランドを倒した。
前回大会の南アフリカに続き、再びジャイアントキリングを達成。プールAは大混戦にもつれこんだ。
開催国の躍進は、大会全体の盛り上がりにつながる。この一勝が意味するものは大きい。

僕は開幕戦のロシア戦を見て、正直「今回のW杯、日本代表は厳しいだろうな」と思っていた。理由はリーチ・マイケルだ。
想像を越える絶不調。キック処理を誤り、ハンドリングエラーを犯し、オフサイドに引っかかり、タックル回数も少ない。開幕戦ということで日本代表選手のほとんどが固くなっていたが、その中でリーチの緊張の度合いは尋常ではなかった。

今大会前の沖縄合宿で、リーチ・マイケルは恥骨炎を発症している。一時はW杯出場も危ぶまれるほどの故障だったが、なんとか本大会には間に合わせた。しかし初戦の不調はその怪我の影響ではなく、「開催国のキャプテン」として、背負っているものがあまりにも大きすぎたことにあるように見えた。

そもそも、キャプテンというのはそういう仕事なのだ。重圧を背負い、不調が許されず、自分のパフォーマンスが悪いときでも味方を鼓舞しなければならない。誰だってすき好んでやりたい仕事ではない。特に、リーチほど長く代表キャプテンを務めている者には、いつか歪みが現れる。NZのキアラン・リード、オーストラリアのマイケル・フーパーなどは「例外中の例外」という化物なのだ。

だから僕は、日本がグループリーグを突破するためのポイントは、いかにしてジェミー・ジョセフ監督がリーチを蘇えさせるか、その監督手腕にかかっていると読んでいた。
それが表れる第2戦、グループリーグ大一番のアイルランド戦で、ジョセフ監督は「リーチをスタメンから外す」という、まさかの対処に打って出た。

おそらく、一種の荒療治だろう。リーチの不調は身体的なものではなく、精神的なものだ。一旦、キャプテンという責務の重圧からリーチを開放し、いちプレーヤーとしてラグビーをプレーさせる原点に回帰させる。ハードタックラーとしての自分の価値を取り戻させる。
なかなかの賭けだったと思う。リーチは代表選出以来、過去2度のW杯ですべてスタメン出場を果たしている。それがスタメン落ちするのはかなりの屈辱だっただろう。

ジョセフ監督は私情を挟むことなく、ロシア戦の個人データをリーチに見せて「パフォーマンスが足りないから、先発から外す」とシンプルに告げた。コミュニケーションの取り方にはかなり気を使ったようだ。リーチは取り乱すことなく現状を受け入れ、リザーブとして途中交代の戦力となるべく適切に準備を重ねた。このジョセフ監督の冷静な判断と、それをきちんと自分の中で消化できたリーチの成熟さが、今回の大きな勝因のひとつだと思う。

ジョセフ監督がそのような思い切った手を打てたひとつの理由は、FWにリーダーが多数育っていたことだろう。前回大会ではリーチひとりに頼り切っていた精神面が、飛躍的に向上している。PR稲垣啓太、HO堀江翔太はいまやFWリーダーが立派に務まる経験者だ。ゲームキャプテンを務めたピーター・ラブスカフニは、大会直前の合宿の時点では日本代表資格が得られるかどうか微妙な立場で、不安定な状態のまま過酷な合宿を乗り切った。この試合の先発LOを任されたトンプソン・ルークは日本代表として4回目のW杯で、リーチ不在のFW陣を鼓舞する精神的支柱としては十分な存在だ。前半はFL、後半からNO.8として出場した姫野和樹は、アイルランドの肉弾戦に怯むことなく正面から戦いを挑み、何度もアイルランドFW陣に競り勝った。

こうしたFW陣の成長が、リーチ主将の復活を大きく後押しした。途中交代で出場したリーチ・マイケルは、ロシア戦の絶不調が嘘のような活躍を見せる。足首を刈るような低いタックルでアイルランド攻撃陣の出足をくじき、ターンオーバーを狙って密集戦で奮闘した。
アイルランドのジョー・シュミット監督は、警戒する選手としてかねてからリーチ・マイケルを挙げていた。結果としてそれは正しかったが、事前の警戒とは違う意味での活躍ぶりだっただろう。


ゲームの展開を見ると、アイルランドの直接的な敗因は「体力」だろう。日本人にとっては涼しくなって過ごしやすい気候だが、アイルランドの選手にとっては暑く、湿度が高く、体力が削られる気候だったようだ。特にFW陣のかいてる汗の量は半端ではなかった。
日本代表はW杯本番が暑さとの戦いになることを見越して、直前合宿をわざわざ暑い沖縄で行なっている。暑さ対策と、スタミナのコントロールが十分に行き渡っていた。試合後半になると、アイルランドの消耗は激しく、ほとんど足が動いていなかった。日本代表の完全な走り勝ちだ。

そういう気候的条件で不利に立たされたアイルランドは、正面からあたるFW戦を、ことごとく日本に受け止められてしまう。アイルランドの攻撃の基本は「縦、縦、横」だ。一次攻撃、二次攻撃はFWで突っ込み、モールやラックで相手ディフェンスの数を減らす。ディフェンスラインが手薄になったところを見計らって、BKに展開してトライを取る。
そのゲームプランは、初戦のスコットランド戦では完璧に機能した。スコットランドのディフェンスはアイルランドの縦攻撃を防ぎきれず、ずるずると後退を続け、防戦一方の戦いを強いられた。

ところが日本代表は、アイルランドFW陣の縦攻撃を、気迫のタックルで正面から受けて立った。何度フェイズを重ねても前進できない。時にはBKまでがサイド攻撃に備え密集戦に参加した。それでも防御が薄くならない。前半のはじめの時点で、アイルランドの攻撃陣は「なんか予定と違うぞ」という違和感を抱いたと思う。

前半にとったアイルランドのトライは、日本の防御を組織的に崩したものではない。縦攻撃がことごとく封じられ、ラインディフェンスを突破できず、苦し紛れに出したキックパスで、中盤を飛ばしたものだ。あれはあれで相当に高度な技術ではあるが、再現性は低い。同じ手が何度も使える策ではない。結局、日本のディフェンスはアイルランドの突破に最後まで耐えきり、一度もラインブレイクからのトライを許さなかった。

戦術的交代も要素のひとつだろう。アイルランドの弱点は、スタメンとリザーブの戦力差に開きがあることだ。できればスタメンを長い時間引っ張りたい。特にSOセクストンを負傷で欠いたことで、BK陣の展開力が半減した感がある。
しかし、日本代表の途中交代は、すべて戦術的に行なわれていた。前回大会で南アフリカに勝ったときも、勝敗を分けたポイントは選手交代だった。今回も、FLリーチ・マイケル、SH田中史朗を決め打ちで途中から投入することで、ゲームのリズムを一変させた。

つまり、今回のアイルランド戦の勝ち方は、前回大会の南アフリカ戦の勝ち方と同じなのだ。ディフェンスを徹底して肉弾戦に負けない。途中後退を効果的に利用して戦力をフレッシュに保つ。唯一のネックはリーチ主将の不調だったが、それも荒療治で克服した。監督手腕と選手ひとりひとりの仕上がり、両方が噛み合っての勝利だった。決してまぐれでも奇跡でもない。

日本がアイルランドに勝利したことによって、スコットランドに決勝トーナメント進出の可能性が復活し、逆にアイルランドは追いつめられる結果となった。前回大会と同じ三つ巴の構図だ。ここから先は、「4トライ以上の勝利」「7点差以内の負け」というボーナスポイントが重要になってくる。ボーナスポイントは、前回大会で日本代表が「3勝していながら予選落ち」という初のケースに陥った、最大の原因だ。アイルランドもその重要性をよく分かっており、試合終了直前には自陣に釘付けにされたため、7点差を確保するためにあっさり「降参」し、タッチキックで自ら試合を終わらせている。
これから各チームともひとつも落とせない戦いが続き、消化試合がなくなる。前回は越えられなかった壁を越えることができるか。これからの試合がますます面白くなった。



SO田村が集中力を取り戻したのも大きい。

ラグビーのルール(初級編)





俺の魂がこれを貼れと騒いでいる

ラグビーW杯 プールB NZ vs 南アフリカ

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ラグビーワールドカップ プールB
NZ 23-13 南アフリカ


本来であれば、決勝戦であってもおかしくない対戦。それがいきなり予選プールの、しかも初戦に当たった。おそらく予選プール最大の注目カードだろう。
日本開催という幸運に恵まれ、実際に試合を見てきた。会場は横浜国際競技場。自宅から歩いて行ける距離だ。

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ひかえーい、ひかえおろうー。


実際に観た感想としては、凄く驚いた。僕はオールブラックスを観て20年以上になるが、いままで観たことのないオールブラックスだった。
しかも、たぶんテレビで観ていたら分からなかったであろうことがたくさんあった。これだからラグビーは実際に会場で観ないといけない。

開幕直前までのNZは、いろいろと不可解なことが多かった。
たとえば、SOのボーデン・バレット。今や「世界最高のSO」と称される彼を、最近のNZはなぜかFBで使っている。
そのFBには、これも「世界最高のFB」と称されるベン・スミスがいる。ところが最近のNZは、なぜかベン・スミスをWTB登録にしている。

バックスに限って言えば、両WTBの起用も分からない。今回の南アフリカ戦の先発WTBは、左ジョージ・ブリッジ、右セブ・リース。今回大会前までのキャップ数は、ブリッジが5、リースが3。ほとんど経験のないWTBといっていい。相手が南アフリカなのだから、せめて片方のWTBには経験豊富なベン・スミスを置くべきであるはずなのに、「誰それ?」という新人起用だ。

こうしたNZの、いわば「迷走」した選手起用の悪影響は、W杯直前に行なわれた、ザ・ラグビー・チャンピオンシップ(南半球4ヶ国対抗戦)で露呈してしまう。南アフリカとは16-16の引き分け、対オーストラリアに至っては47-26という近年見ない大差で敗北してしまう。その結果、NZは3大会連続で優勝していた連勝記録が途絶え、4連覇を逃してしまう。
僕はこれらの試合を「言わんこっちゃない」という気分で観ていた。選手起用の迷走からの惨敗。世界ランキング1位からも10年ぶりに陥落した。そういう状況だったため、僕は正直、「今回のW杯は厳しいかな」と思っていた。

その初戦の相手が、よりによって南アフリカ。直前に行なわれたザ・ラグビー・チャンピオンシップでは優勝を飾り、連覇を続けていたNZから王座を奪還した。いま絶好調のチームと言ってよい。W杯の前回大会でも準決勝でNZと当たり、大差での勝利が続いたNZに唯一、20-18という僅差まで追いつめた。

その前回大会でNZを追いつめた作戦が、ハイパントだった。当時のNZ代表は両WTBのキック処理能力が低く、空中戦の競り合いをほとんど南アフリカに制された。当時のNZのWTB陣、ミルナースカッダーとサヴェアは、トライ奪取能力に特化して選抜されており、その分キック処理が甘かった。南アフリカはその弱点を突き、NZを苦しめた。
あれから4年、両チームの戦い方はどのように変化してきたのか、とても楽しみな試合だった。


試合が始まると、南アフリカは、予想通りにキックを多用してきた。前回大会の準決勝と、ここ最近の数試合の分析で、「NZはハイパントに弱い」と見てきたのだろう。SHのデクラーク、SOのハンドレ・ポラードは距離を稼ぐキックではなく、中間点に落としキャッチングを競らせるコンテスト・キックを多用するゲームメイクを行なった。

ところが前回大会と違い、南アフリカのキック攻撃は、それほど効果がなかった。NZはいろいろな手を使ってハイパント攻撃に対応してきている。
一番顕著なのは、NZの両WTBだ。ブリッジもリースも、競り合いに強い。前半一発めのハイパントを、左WTBのブリッジが競り勝って取った。このワンプレーで、南アフリカのハーフバックス陣には「何か違うぞ」という違和感があったと思う。

つまりNZの、経験値の浅いWTBの起用は、「ハイパントキャッチャーに特化した人選」だったのだろう。従来の、走力にものを言わせて敵陣をぶっち切る俊足WTBではなく、確実にキック処理が行なえる補給能力の高いWTBを使う。これは今までのNZにはなかった選抜方法だ。

テレビで観てると分からないが、実際に会場で試合を観ていると、NZバックスリーの守備陣形が通常とは違うのがよく分かる。テレビの画面には映らない位置になるが、攻撃時と守備時で、ボジションを変えている。
FBに入ったボーデン・バレットは、攻撃時には両CTBの中間、やや下がったところに位置している。これは通常のFBの位置ではない。通常、FBはライン攻撃を止められたあとカウンターでキック攻撃された時に備え、攻撃ラインよりもかなり深い位置にいる。

つまりボーデン・バレットは、FBではなく、「セブンエース」(7/8th、「8分の7の位置」)なのだ。これは最近のラグビーではほとんど見られないポジション取りの仕方で、その主な役割は「影のSO」と言ってよい。最後尾に近い位置にいながら、ライン展開の2、3次攻撃ではするするっと上がってきてSOの位置に入る。展開によってはWTBの外に構えて大外を走り切る。 つまり今のNZは「司令塔が2人いる」システムなのだ。

ボーデン・バレットの最も特筆すべき能力は、その圧倒的な走力だ。相手WTBでさえ簡単に振り切る。そのスピードは、前回大会の決勝戦でもオーストラリアの心を折る、とどめのトライを奪った。もしバレットを純粋なSOで使用すると、その走力が十分に活かせない。NZは、バレットの攻撃力を最大限に活かすため、その走力と展開力を両方引き出せるポジションをやらせているのだろう。

今回の試合を見てみると、NZの両WTBは、攻撃時にあまり上がらない。カウンターのキック攻撃に備えて下がっている。つまり、本来であればFBがやるべき仕事を、両WTBがカバーして行なっている。両WTBに後ろを任せたFBバレットは、攻撃時にはラインの裏まで上がって攻撃に参加する。
通常であれば、バックスリーの攻撃は、パス回しの最終点となるため、ライン際の両端を走ることが多い。ところがセブンエースとして攻撃参加するバレットは、フィールドの中央を走るコース取りになる。

それが顕著に表れたのが、前半23分のトライだ。セブンエースの位置から攻撃参加したバレットが中央を抜き、それをサポートした左WTBジョージ・ブリッジがトライを奪った。このトライの取り方は、いままでのNZのWTBのトライの取り方ではない。大外のライン際で勝負するのではなく、中央を走るセブンエースのサポートとしてWTBを使う。この攻撃のバリエーションは、前回大会までのNZには全くなかったものだ。

ボーデン・バレットは、常に前任者SOのダン・カーターと比較され続けてきた。前回大会でもカーターの控えとされ、この4年間は「カーターの後継者」という二つ名で紹介されることが多かった。しかし今回の初戦を見る限り、バレットは「カーターの後継者」などではなく、全く違ったタイプのプレースタイルを完成させつつある。

バレットに替わってSOに入ったのは、リッチー・モウンガ。屈強で体が強く、ゲームメイクよりも縦の突破力に特徴がある。今年に入って負傷離脱していたが、調子を上げてW杯開幕に間に合わせてきた。
モウンガは展開力よりも突破力に優れているため、バレットがSOに入ったときとはゲームの展開の仕方が違う。おそらくこれが、NZがバレットをSOに入れていないもうひとつの理由だろう。

つまり、「SOの負傷離脱」を防ぐため。NZは伝統的に、SOのゲームメイクによってバックス陣の統制をとってきたチームだ。縦横無尽に走り回るBK陣は、SOの指揮によって自由自在の攻撃を仕掛けてくる。
だから、SOを封じられると、NZは攻撃力が激減する。2003年大会では、当時世界最高のSOだったカルロス・「キング」・スペンサーのゲームメイクを徹底的に分析され、準決勝でオーストラリアに苦杯を喫している。2011年大会では、準決勝でダン・カーターを負傷で欠き、決勝戦では第二SOのアーロン・クルーデンまで負傷、第三SOのドナルドで戦わざるを得ず、決勝でフランスに1点差まで詰め寄られる薄氷の勝利だった。

NZがモウンガを第一SOに据えているのは、「SOのゲーム展開を分析され対策を絞られないため」「ゲームメーカーの負傷離脱を防ぐため」という、ふたつの理由があると思う。それがはっきりと分かったのが、試合後半の選手交代だ。
NZは後半10分にCTBライアン・クロティに替えて、ソニービル・ウィリアムズを投入する。ソニービルは日本でプレーした経験もあり、変幻自在なオフロードパスが秀逸で、日本でも人気がある。選手交代の時には会場中から大きな歓声が上がった。

CTBに替えて入れるのだし、もともとソニービルはCTBが本職なのだから、投入されたらそのままCTBに入るのが普通だ。しかし後半途中で投入されたソニービルは、なんとSOの位置に入った。そしてSOのモウンガが替わりにCTBにずれる。つまりソニービルは、今のチームでは、CTBだけでなく「第三のSO」の役割も果たしていることになる。

確かにソニービルの縦突破とオフロードパスを考えたら、SOとして使うのは理に適ってる。相手チームのバックローにしてみれば、ソニービルのような屈強なSOは嫌だろう。しかも、モウンガともバレットとも、全く違うタイプのSOだ。それぞれ違うタイプのSOが、ゲーム展開によって自在にポジションを入れ替えて全く違うタイプのゲームメイクをする。これが今大会のNZの、新しい試みだろう。体の強いモウンガやソニービルは、「ゲームメーカー」のSOではない。むしろ「CTBが3人いる」という感じのフロントスリーだろう。

ポジションチェンジを繰り返していたのは、BKだけではない。NZはFW陣もポジションチェンジを頻繁に行なっていた。最も不思議だったのは、キャプテンのNo.8、キアラン・リードだ。8番なのに、スクラムのときにはなぜかFLの位置に入っている。また、LOのスタメンはスコット・バレットだったが、後半途中の選手交代からFLに入っている。

NZのバックロー陣の主な狙いは、ブレイクダウン時のプレッシャーを迅速にかけることだろう。速攻守備で相手バックロー陣を封殺し、南アSOのハンドレ・ポラードにプレッシャーをかける。そうすることで、ポラードにキックを蹴らせない。
すると南アのキック攻撃は、SHデクラークからのボックスキックに限られる。NZバックロー陣のプレッシャーによってSOにパスを回す余裕がなくなるので、デクラークが蹴るしかない。SHからのボックスキックは、地域的にタッチライン沿いの両端を狙うことになる。

そして、これが、NZがベン・スミスをWTBで使っている理由だろう。ベン・スミスは、トライを取るためにWTBで使われているのではない。高い補球能力で、相手SHからのボックスキックを取り、空中戦を制圧するためのWTBだ。この試合でも、途中交代でWTBの位置に入り、ライン際のキックを危なげなく処理した。この「バックローがプレッシャーをかけ、SHにボックスキックを蹴らせる」「WTBがライン際の空中戦を制する」というのが、今のNZのディフェンスの基本になっている。

ライン展開を防がれ、ボックスキックを封じられ、試合途中から南アSHのデクラークは明らかに攻め手を失っていた。苛々が募ったデクラークは、不要なファウルやオフサイドを犯し、みすみすNZにペナルティーを献上してしまう。
また、南アのバックロー陣は、NZバックローの頻繁なポジションチェンジに対処できず、局地戦をことごとく制圧されてしまう。機能不全に陥った南アのバックローは、なんとキャプテンのFLシヤ・コリシを途中交代で下げてしまう。

この、SHデクラークとFLコリシの途中交代は、南アがNZの戦術に嵌ったことを象徴していた出来事だったと思う。
しかしそれ以外にも、それぞれのポジションで、南アはNZの大局的戦略にしてやられた部分があった。

今回の試合で、NZはフロントローの3人を後半10分の段階で交代している。後半開始時にはHOコールズ、後半10分には両PRのムーディー、ラウララを相次いで投入した。これは従来のNZの最前列の交代よりも、かなり早い時間帯での交代だ。

南アが最も強いのは、出足の早い詰めのディフェンスだ。ガンガン出て相手にプレッシャーをかけるのは、南ア得意の守備だ。その一方で、詰めのディフェンスは消耗度が激しいという難点がある。体力が80分続かず、途中で息切れしてしまう危険性がある。
NZは、抜かりなくその消耗を突いてきた。フロントローを早い時間で替えたのは、南アのパスミスが多くなったためだ。ノックオンやスローフォワードは、相手ボールのスクラムになる。 NZは、南アがハンドリングの反則を多く犯すことに気付いて、すぐに対策を立ててきた。

そのNZの周到な対策によって、結局、南アは勝ち点1を失う結果になる。
試合後半、南アはハンドレ・ポラードのDGによって4点差まで迫る。W杯のルールでは、負けたチームも7点差以内での敗北なら勝ち点1がもらえる。ところが、南アはハンドリングエラーで次々とNZにスクラムを与えてしまう。そのスクラムで、南アの消耗したフロントロー陣が、選手交代したばかりで体力十分なNZのフロントローに太刀打ちできず、反則でペナルティーキックを与えてしまう。そのペナルティーを2本たて続けに決められ、一気に6点を離された。終わってみれば10点差の敗北。この点差を生んだのは、試合終盤でスクラムに圧倒的な差をつけた、NZフロントロー陣の手柄だろう。

NZが局地戦を制したのは、途中交代で入ったSHのTJ・ペレナラによるところが大きい。スタメンSHのアーロン・スミスは展開力に優れ、自身も走力がありトライ奪取能力も高いが、ペレナラはそれとはタイプの違うSHだ。
ペレナラがSHとして優れているところは、FWを動かす指揮力にある。密集ごとに、ジャッカルを狙って絡みにいくのか、捨ててラインディフェンスに備えるのか、その判断と伝達能力が高い。
南アは、NZの連続攻撃でフェイズを重ねられるのを嫌った。南アのディフェンスの仕方では、連続攻撃への防御は消耗に直結し、体力を削られる。南アがキック戦術でフィールドを広く使おうとしていたことには、そういう背景もある。しかしペレナラはそれを見抜き、FWを使って縦に押し込む展開を続けた。

その結果、試合後半の最後の時間帯は、ずっとNZボールで、南ア陣内で試合が続くという展開になった。ペレナラの指揮によってNZのFW陣が地域を確保し、マイボールの展開でフェイズを重ねる。南アにとっては、反則をひとつ犯したら即3点を失う、という時間帯が延々と続いた。

南アにしてみれば、キック展開を封じられ、相手のアンストラクチャーを狙う攻撃に対処できず、FWの体力を削られ、自陣深くに押し込まれる。どうにもできない試合展開だっただろう。
南アの能力が劣っていたのではない。FBルルーは相変わらず高い捕球能力で空中戦を制していたし、SOポラードは正確なキックで得点源になっていた。しかし、それらの能力を完全に活かすための試合展開をつくる能力は、NZのほうが高かった。

NZとて、そうした試合展開をつくることが、最初からできたわけではない。今回のチーム戦術は、前回大会までのNZの戦術とは全く異なる。新しい試みがいくつもある。そのために、NZは4年間を費やし、W杯開幕直前の貴重なテストマッチを有効に活用してきた。
NZは去年のこの時期、オーストラリアとの定期戦を日本で行い、実際のW杯の時期の日本の気候や条件、決勝戦会場の横浜国際競技場までも、実際に試している。日本の湿度に対応するため、練習では濡れたボールを使ってハンドリングエラーに備えていた。そういう周到な準備を重ねた上で、今大会に臨んでいる。

W杯開幕直前に行なわれたザ・ラグビー・チャンピオンシップも、新システムの試行のために、敢えて「捨てた」のだろう。新しいシステムを試し、定着するための「実践練習」として、開幕直前に行なわれた4ヶ国対抗戦を利用した。大会4連覇を捨ててまで、ワールドカップの優勝のための準備に費やした。世界ランキング1位から陥落しようが知ったこっちゃない。それよりも、新システムに磨きをかけ、W杯優勝を狙うほうを選んだ。

今回の新しいシステムで臨んだNZは、7月20日の対戦で南アフリカと16-16で引き分けている。その時はまだ未完成だったから引き分けに終わったが、そのシステムを洗練させ完成に近づけたW杯本大会の大事な初戦では、きっちり23-13で勝ち切った。NZが開幕直前の数ヶ月をどのように位置づけ、どのように強化プランを練ってきたのかが、よく分かる試合だった。


サッカーのW杯と違い、ラグビーのW杯は応援するチームごとに観客席が分かれていない。両チームを応援する観客が入り乱れて座っている。声を張り上げて応援しながらも、試合が終わればどちらのチームのサポーターも笑顔で挨拶をし、お互いを尊重する。試合が終われば「ノーサイド」になるのは、選手だけではないのだ。
この試合でも、ノーサイドの後で、それぞれのチームのレプリカジャージを着ているサポーター同士が、一緒にビールを飲みながらスマホの自撮りで一緒に記念撮影をしていた。さすが世界の舞台。さすがワールドカップ。質の高さが求められるのは、選手も観客も同じなんだなぁと思った。



やばい書いてて超楽しい。

ラグビーW杯 開幕戦 日本vsロシア

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ラグビーワールドカップ 開幕戦 プールA
日本 30-10 ロシア


10年前に招致が決まったラグビーW杯日本大会が、いよいよ始まった。
前回大会で躍進したラグビー日本代表の位置づけが試される大会だろう。また運営上では来年に迫った東京オリンピックの実質的な「予行演習」の意味付けがあり、日本にとっていろいろな面で重要な大会だ。

その開幕戦。相手は格下のロシア。ほとんどの予想が「勝って当然」という雰囲気だった。しかし実際に蓋を開けてみたら、ロシアは強かった。まぁ、ラグビーにおいて楽勝という試合はほとんどない。それは、前回大会の開幕戦で南アフリカにまさかの勝利を挙げた日本代表が一番よく分かっていることだろう。

ロシアは明らかに日本代表の弱点を分析していた。すなわち、キック処理。
前半開始のキックオフから20分はひどかった。技術の無さというより、開催国というプレッシャーで選手が固くなっていたように見える。国歌斉唱のときの選手の高ぶりを見ると、気持ちを上げ過ぎて自分をコントロールできなくなった選手が多かったようだ。
特にBK陣にそれが顕著で、SO田村優などは判断が悪く、キックが入らず、ゲームコントロールを全く失っている状態だった。キャプテンのリーチ・マイケルでさえ、試合の出だしにキック処理をミスしてしまい、混乱に陥った。

こういう時にものを言うのが、経験豊富な選手の落ち着きだ。今回の試合では、PR稲垣啓太、HO堀江翔太、WTB松島幸太朗の3人が日本代表を落ち着けた。確実にボールを確保し、フェイズを重ね、陣地を少しずつ挽回していく。PRやHOはスクラムが本職のため、展開ラグビーにおいては体力を温存するよう、ポイントの「片側」だけに控えているのが普通だ。しかし稲垣と堀江は体力を出し惜しみせず、フロントローとしては異質なほど走り回った。彼らの勤勉な動きが、他のFW陣を落ち着けるために果たした役割は大きいだろう。

また、今回の試合でWTB松島が3トライを取ったのは、決して偶然ではないと思う。WTBは試合中に廻ってくるボールの数が圧倒的に少ない。だから試合終盤まで維持しなければならない集中力の種類が、他のポジションとは違う。
松島は序盤で日本代表が混乱していた時間帯、「のんき」に構えて他の選手への声掛けを行なっていた。特に混乱に陥ったSO田村には頻繁に声をかけ、BK陣を落ち着かせようとしていた。前回大会ではまだ売り出し中の若手だったのが、今回大会ではBKリーダーともいえる役割を果たしている。その気持ちの持ち方の変化が、3トライという結果につながっているように見えた。

試合の序盤はロシアのゲームプランに嵌り、主導権を取られたが、前半のおわり辺りから日本が主導権を取り返す。ロシアの弱点は、意外なことだが、フィジカルにある。力は強いが、体力が保たない。ロシアは日本の弱点がキック処理にあるとみて、頻繁にハイパント攻撃を仕掛けてきた。しかしそれは裏を返せば、ロシアがその攻撃にしか活路を見いだせなかったということでもある。ロシアは徹底して接近戦を嫌い、日本がモールやラックでフェイズを重ねる展開を切ろう切ろうとしていた。フェイズを重ねる接近戦になれば、体力を消耗し、集中力が落ちるからだ。過酷なまでの強化合宿でフィジカルとスタミナを上げていた日本代表との差が、徐々に見えてくる。

次第に日本代表がゲームプランを実行しはじめるようになり、モールやラック中心の展開が増え、ロシアのディフェンスが中に中に寄るようになる。すると外が空くので、WTB松島がフリーになりやすい。今回の試合で松島がハットトリックを決めたのは、そういう経緯があったからだ。最初こそロシアに主導権を握られたが、途中でそれを取り返したのは日本代表にとって大きな自信になるだろう。


試合のことはともかく、今回の試合を見ていて気になったことがいくつかあった。

(1) 選手移動の先導車両
今回の日本大会は、移動が長い。全国の試合会場を移動しながらプール4試合をこなす。その際、会場入りするためのチームバスに、警察の先導車両が無い。海外の大会だったら、チームバスには警察の先導が付き、信号もなにもぶっち切って最短時間で移動する。HOの堀江翔太も、開幕戦のためのバス移動の時間が長く、体が硬くなってしまったことを指摘している。

僕の住んでる横浜でも試合が行なわれるため、大きな道には「ラグビーW杯期間中、試合当日は、不要不急な車の移動はご遠慮ください。」という看板があちこちに見られる。しかし、日本の交通事情でそんな呼びかけをすること自体、実効性が疑わしい。どんな状態であってもスムースに運営しなければならないのが開催国の務めだ。ちょっと、これでいいのかな、という気がする。

(2) 明る過ぎる照明
開幕戦の会場となった東京スタジアム、照明が明るすぎたような気がする。普段、Jリーグなどで使用しているときよりも明るかった。試合序盤の日本のキック処理のミスは、ひとつには明る過ぎる照明で、ボールが「溶けて見えなくなった」のではあるまいか。

前日の報道によると、日本代表の前日練習は昼間に行なわれていた。一方、ロシアは前日練習を敢えて試合時間と同じ夜に行なった。ロシア代表はその時スタジアムの照明を確認し、キック攻撃を「いける」と判断したのではないか。試合状況の確認は、試合と同じ環境で行なうのが鉄則だ。日本代表の準備は、その点でやや甘いところがなかったか。

(3) 温度と湿度
残念ながら今回の日本大会は、天候があまり良くないようだ。台風も接近してきているし、秋雨前線がずっと日本列島に停滞している。夏の猛暑はなんとか脱したものの、ラグビーにとって最適な環境と言えるほど涼しくなってはいない。

ラグビーの試合は消耗戦なので、天気や温度によってゲームプランを変えなくてはならない。単発の試合とは違い、先が長いので、選手の消耗を抑えることも必要になる。それができて、戦術の引き出しが多いチームと、チームプランがひとつしかなく、どんな環境でもひとつの戦術を貫かなければならないチームで、大きな差が出てくるような気がする。

(4) 右展開に寄ったゲームプラン
戦術的な面では、日本代表の展開が右展開に偏っていたのが気になる。右WTB松島は3トライを上げたが、左WTBのラヴァには、ほとんどボールが回っていない。
スクラムの時には、攻撃側の左サイドは相手SHの分だけ1枚ディフェンスが厚いので、サイド攻撃は右から仕掛けるのが定石だ。しかし今回の日本は、スクラムのようなセットプレーだけでなく、フェイズを重ねた展開の途中でも、決め打ちは右から攻めた。ひとつには押された展開にあっても右WTB松島が落ち着いていた、ということを見たSH流の判断だろうが、このままではいずれ相手国に分析される。特に次戦のアイルランドは相手国の分析に長けている国で、日本の展開パターンを確実に読んでくる。日本代表の躍進には、BK展開のバリエーションを増やしていくことが必要ではないか。


まぁ、とにかく、日本代表が緒戦を取ったのは大きい。こういうスポーツの国際大会では、やはり開催国が躍進することが大会全体の盛り上がりに大きく影響する。前回大会では開催国のイングランドがまさかの予選敗退の憂き目に遭った。サッカーのW杯では、前回大会で開催国のロシアがまさかの躍進を見せて大会全体が盛り上がった。前回大会で大きく躍進した日本代表が、この4年間でどれだけ進化したのか楽しみだ。日本でこんな大きな大会が行なわれるのは、少なくとも僕が生きている間はもうないだろう。一生に一度の楽しい機会を満喫したい。



経験の力ってのはやっぱり侮れないんだなと実感。

原因と対策

文在寅の報復は「日本に影響ナシ」どころか「韓国に大打撃」の可能性 経済の条件が違いすぎる
(高橋 洋一)

韓国の失政の代表例は、雇用政策である。文政権は、韓国内では左派政権とされるが、それが雇用政策に失敗したとあっては、面目がないだろう。この点、韓国の文政権は驚くほど日本の民主党と共通点がある。

文政権は、「最低賃金引き上げ」と「労働時間短縮」に取り組んだが、結果として失業率は上がってしまった。

最低賃金引き上げも労働時間短縮も、ともに賃金引き上げを意図した政策だ。しかし、金融緩和を行って雇用を作る前に、先に賃金を上げてしまうと、結果として雇用が失われる。典型的な失敗政策で、まさに日本の民主党政権と同じ間違いだ。

左派政党の建前は、労働者のための政治だ。このため、雇用を重視する。しかし、雇用を作るための「根本原理」が理解できていないと、目に見えやすい賃金にばかり話が行きがちだ。

金融緩和は、一見すると企業側が有利になる。そのため左派政党は、短絡的に「金融緩和は労働者のためにならない」と勘違いする。金利の引き下げは、モノへの設備投資を増やすとともに、ヒトへの投資である雇用を生み出すことを分からないからだ。

この間違いを犯す人は、金融引き締めで金利を上げることが経済成長のためになる、などと言いがちだ。例えば、立憲民主党の枝野幸男代表がその典型だ。

そうした勘違いの末、政策として実行しやすい最低賃金の引き上げを進める、という話になる。民主党政権もこれで失敗した。


この軋轢を「外交問題」と捉えている人が多いが、その実、この問題の本質は文在寅の「経済失策」にある、という指摘。
この指摘が正しいのであれば、文在寅が強行に嫌日政策をとっている理由は「それが唯一の失政回復の方法だから」であり、ことの本質は外交には無いことになる。日本側の態度は一切関係ない。日本側がどういう態度をとろうと、文在寅にはこの方策しか無い。

つまりこの件は、外交努力で解決できる類いの問題ではないことになる。



原因を断ち切るのが問題解決の王道。

今日も暑いぞ

ビールがうまい。


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するっと

秋田とくれば稲庭うどんだ。

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普通に暑い

北に来れば涼しくなると思ってた。

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脇目も振らず突撃だ

旅先で必ず嫁が寄るのは地元スーパー。

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もちろん大盛だ。

盛岡ときたら冷麺。

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どんどんくれたまえ

盛岡ときたら椀子そば

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角館駅

すんげえ旅に来た感。


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反論すべき社説はどれか

「対立する日韓 交流の歩みも壊すのか」
(2019年8月3日 朝日新聞社説)
「輸出優遇国除外 韓国はなぜ現実に向き合わぬ」
(2019年8月3日 読売新聞社説)
「韓国を『輸出優遇』除外 負のスパイラルを案じる」
(2019年8月3日 毎日新聞社説)
「ホワイト国除外 「甘え」絶つ妥当な判断だ 韓国は不信払拭の行動起こせ」
(2019年8月3日 産経新聞社説)
「日韓は摩擦対象を広げるな」
(2019年8月3日 日本経済新聞社説)
「ホワイト国除外 「報復」の悪循環やめよ」
(2019年8月3日 東京新聞社説)


日韓の国際関係に決定的な亀裂を生じさせた今回の輸出優遇国除外措置。
日本政府の決定の是非はさておいて、ここでは単純に社説の出来・不出来だけに注目して読んでみたい。この中に、ひとつだけ「絶対に反論しなければならない社説」がある。どの社説だろうか。

それぞれの社説で、意見を出してる立場が違う。

「よいことだ」・・・産経
「よくないことだ。韓国が悪い」・・・読売
「よくないことだ。日本が悪い」・・・毎日、東京
「よくないことだ。両方悪い」・・・朝日、日経

意外なのは朝日新聞だ。ここのところ日韓関係については偏向報道を立て続けに流し、世論の批判を浴びていることを十分に意識しているのだろう。今回の日本政府の決定に関しては、ちょっと驚くほど中立な立場で書いている。「角度」の付け方が普段の朝日らしくない。

自治体や市民団体などの交流行事は中止や延期が相次ぐ。7月の半導体材料の輸出規制もあわせ、今後の運用次第では韓国経済を深刻に苦しめ、日本の産業にも影響がでかねない。きのうの決定が実施されるのは今月下旬からになる。両国関係に決定的な傷痕を残す恐れがある一連の輸出管理を、日本は考え直し、撤回すべきだ。
(朝日社説)
一方、文在寅(ムンジェイン)政権は対抗策として、安保問題で日本との協定を破棄する検討に入った。だが北朝鮮が軍事挑発を続けるなかで、双方に有益な安保協力を解消するのは賢明な判断とは言えない。文大統領は、ここまで事態がこじれた現実と自らの責任を直視しなければならない。きのう「状況悪化の責任は日本政府にある」と語ったが、それは一方的な責任転嫁である。

当面の対立緩和のために取り組むべきは徴用工問題だ。この問題で文政権は、韓国大法院(最高裁)が日本企業に賠償を命じる前から、繰り返し日本政府から態度表明を求められてきたが、動かなかった。文氏は、司法の判断は尊重するとしても、行政府としては過去の政権の対応を踏まえた考え方があることを、国民に丁寧に説明しなくてはならない。
(朝日社説) 


現代の国際間紛争であれば、片方だけが一方的に悪いということはあり得ない。今回の日本の措置にしても、日本だってしたくてそんなことをしたわけではない。状況をコントロールする方法として、持っている手段を公使しただけだ。その前提には、「状況がコントロールを必要とするほど乱れている」という現実がある。

朝日の主張は要するに「状況を悪くしたのは韓国。そのコントロール手段を誤ってるのが日本」という内容だ。結果としてだが、わりとバランスのとれている社説になっている。普段の朝日新聞であればもっと韓国ワッショイの記事を載せるところだろうが、朝日新聞の現状からしてそれは致命傷になりかねないと踏んだのだろう。ビビった挙句なのだろうが、結果としてわりとまともな社説になっている。

朝日と並んで「両方悪い」という主張を載せている日経社説は、珍しく出来が悪い。経済と民間交流に及ぼす影響しか考えていない。もとは政治的な背景のある問題だとしたら、「そもそもの原因は何か」という過去由来の論拠と、「それが及ぼす影響は何か」という未来志向の論拠と、両方を揃えなければ説得力がない。今回の日経は、後者だけに著しく偏っている。ことの発端がどうであろうが関係ない、影響だけが問題だ、という書き方だ。これでは影響の指摘が適切であろうとも、説得力のある解決策には結びつかない。

普段の朝日の論調をそのまま踏襲したのが毎日新聞だ。完全に「韓国が正しい。日本が間違っている」の一本槍。いくら左派系とはいえ、ここまで他国寄りの社説を載せる新聞は世界的にも珍しいだろう。

毎日新聞がどのような主張を載せようが勝手なのだが、その論拠がいただけない。毎日新聞の論拠は、「政治的な対立を、経済的な手段で報復するのは筋違いだ」ということだ。もともと今回の日本の優遇国除外措置は、日本政府の発表によると、政治的対立は関係ない。単に「優遇国として課されるルールを韓国が守っていないから」ということになっている。日本が眉を顰めたのは、兵器に転用可能な輸出品目の管理と報告を韓国がずさんに行なっていることだ。端的に言えば、北朝鮮への兵器用素材の密輸を疑っている。

だから毎日新聞の主張の妥当性は、「今回の日本の措置は、本当に政治問題に由来した報復なのか」というのを明らかにできるかどうかに懸かっている。経済の問題に対して経済で対処したのなら、何の問題もないはずだ。

それに関する毎日新聞の論拠が、お粗末極まりない。

韓国は1965年の日韓請求権協定に基づき解決済みとしてきた。だが昨年の韓国最高裁判決を受け、今年6月に日本に示した案は日本企業に資金拠出を求める内容だった。請求権協定に基づき、日本が要請した仲裁委員任命にも応じていない。日本政府は国際法違反とみている。

日本政府は元徴用工問題への事実上の対抗措置として輸出規制に踏み切った。世耕経産相は、韓国の対応について、信頼関係が著しく損なわれたと説明していた。

だからといって無関係な貿易の手続きを持ち出すのは筋が通らない。日本政府は否定するが、国際的には貿易の政治利用と受け止められた
(毎日社説)


「貿易の政治利用と受け止め」たのは、一体誰なのか。
「国際的には」とは、どこで誰が言ったことを指すのか。


一番肝心な論拠を、受身で書いて動作主をごまかして書いている。最も恥ずべき書き方だ。「みんなそう言ってますよ」「そう言われてるんですよ」などという書き方に、説得力など微塵も無い。学校の生徒が、作文や小論文で絶対に書いてはいけない書き方だ。子供でさえ改めさせられる外道な書き方を、こともあろうに全国紙の社説が臆面もなく書いている。もはや「恥を知れ」レベルの社説だ。

「恥を知れ」レベルの出来の悪さでいえば、東京新聞も負けてはいない。毎日新聞は、一応、論拠らしいものを出す体裁を整えるふりをしつつ、肝心なところをごまかして書いていた。一方、東京新聞はその体裁を整えようとすらしていない。

日韓間では、影響が広がっている。心配なのは地方自治体や若者による草の根の交流事業が、相次いで中止されていることだ。韓国では日本製品の不買運動が拡大。飲料や衣料だけでなく、日本車も対象になっている。日本への観光客も激減しており、両国をつなぐ航空便が次々に停止や縮小に追い込まれている。

問題の発端は、昨年十月、韓国最高裁が出した元徴用工をめぐる判決だ。しかし、ここまで関係が悪化している現実を、日本政府は認識しているのだろうか。混乱の拡大を懸念し、韓国だけではなく米国も見送るよう求めていたのにもかかわらず、除外を強行した責任は重い。


「しかし」の意味がまったく分からない。
並べてみると、

「韓国で日本に対して良くないことが次々と起きている」
 ↓
「発端は韓国最高裁が出した元徴用工をめぐる判決」
 ↓
「日本の責任。日本が悪い。」



なぜ。



韓国側の問題を延々と指摘したあとに、何の脈絡もない「しかし」という接続詞一発で、日本の責任追及にあっさり舵を切る。根拠も、文章の体裁も、論理の整合性も、一切無い。すべて軽やかに無視している。こうなると、もはや社説ではない。なりふり構わず読者を誘導するための煽動記事以外の何者でもない。東京新聞なら、そのくらいは平気でするだろう。

こうして見てみると、「日本が悪い」系の新聞は、内容云々以前に、社説としての出来が悪い。説得力が皆無だ。これは新聞業界全体にとって由々しき事態だと思う。産経新聞のような好戦的な主張に対する反論として機能しないからだ。

産経新聞だけが、今回の日本政府の措置を全面的に支持している。極右系の新聞だけあって、開戦も辞さないような攻撃的な社説だ。しかも挙げている論拠には、出自不明の伝聞やら「〜と言われている」的なごまかしは一切なく、淡々と事実を積み上げて論証している。この主張に反論するのは、少なくとも毎日新聞や東京新聞では無理だろう。 書き方の妥当性と説得力が段違いだ。

産経新聞は、論拠の筋は通っている。しかし、それが「妥当な提言」になっているかというと、大いに疑問だ。ぶっちゃけ、隣の国なのだから、関係が悪くなって良いはずは無いのだ。新聞社説の提言としては、「韓国なんてぶっ潰せ、やっつけろ」ではなく、「どうすれば事態が収束するか」という、平和的な着地点の模索であるべきだろう。

最近の韓国の、国としてのあり方に苦虫を噛み潰す思いの日本人は多いかもしれない。しかし、国際間の問題で「胸がスカッとするような方策」は、破滅の道であることが多いのだ。戦前の日本の国際連盟脱退もそうだったし、日ソ中立条約の破棄もそうだった。産経新聞の社説からは、そのような道を日本が再び辿ろうとしている危険な気配を感じる。

だから他紙としては、産経新聞のこのような好戦的な社説に歯止めをかけるべく、冷静な視点で収拾案を提言しなくてはならない。産経新聞のような社説に熱狂して同意し、「韓国憎し」の感情を増幅しても、廻り廻って損をするのは日本なのだ。ちょうど今、外交的にも内政的にも窮地に経たされた文在寅大統領がひたすら「日本憎し」のプロパガンダを炸裂させているが、日本もそれと同等の立場に堕ちてしまう。その愚を犯す危険は避けなければならないだろう。

日本は歴史教育によって、なぜ戦前の日本が世論によって戦争を回避できなかったのかを、すでに学んでいる。「他国を潰そう」という憎しみのエネルギーが諸刃の剣であることは、日本は世界のどの国よりも学んでいるはずだ。産経新聞の主張は正当で論拠に弛みがなく、正しい。正しいからこそ、産経の主張に正面から反論し、代替案としての収拾策を提言できなければならない。それこそが、国際紛争を事前に回避する歴史教育の目的だろう。それができなくては、日本国民は、韓国や中国を「『歴史認識』を一方的な齟齬によって犯す国」として批判する資格はない。



八方塞がりの韓国には、今ああいう態度以外に方策は無い。
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「英語教育が改善された」という報道がない理由

「全国学力調査 格差解消につなげよう」
(2019年8月1日 朝日新聞社説)
「全国学力テスト 英語のデータをどう生かすか」
(2019年8月1日 読売新聞社説)
「英語での表現力不足 教師任せにしていいのか」
(2019年8月1日 毎日新聞社説)


全国学力調査で「生徒の英語力が低い」という社説。全国紙では朝日、読売、毎日の3紙が採り上げていた。
この手の話題では、絶対に揺るがない基本がふたつある。

ひとつは、学力調査の結果がどのようなものであるにしろ、マスコミが「日本人の英語力は伸びています。大丈夫です」と言うことは絶対に無い、ということだ。マスコミには、事実はどうであれ、「日本人の英語力は低くあらねばならない」という確固たる信念がある。その背後には、1000億円産業である英語教育業界・予備校業界から得られる広告費がある。読者に危機感を煽って、不安にさせて消費を引き起こそうとするのは、マスコミの基本原理と言ってよい。

多くの読者は、今回の学力調査の結果を自分で精査しようとはしない。今回のような社説を読んで、なんとなく「ああ、やっぱり日本人の英語力は低いのか」という印象を得るだけだ。マスコミが撒き散らす印象操作を鵜呑みにする読者がほとんどだろう。

しかし今回の調査結果を実際によく見てみると、読解力と作文力は伸びている。中学・高校での英語教育が本来的には「大学に入って学問研究を行なえること」、つまり「英語の論文を読めて、英語で論文が書けること」と考えると、今回の調査結果はかなり肯定的に読み取れる。

マスコミは事実に関係なく「日本人の英語力は弱い」という結論ありきで記事を書くから、その改善案も必然的にいいかげんになる。根本的な対策を立てられては困るからだ。毎日新聞などは露骨に無責任さを全開にしている。

教師は部活動や事務作業など授業以外の業務で忙しい。そのため、課題は分かっていても、一方的に知識を伝える昔ながらのスタイルを変えられないのではないかということも、これまで指摘されてきた。教師任せにするのでなく、地域と連携して外国人住民との交流の機会を増やすなど、英語に親しむ環境を授業以外にも広げていく仕組みを考えるべきだ。
(毎日社説)


そもそも全国学力調査は、学校教育の改善のために行なうものだ。その結果を受けて「学校に頼らず、その辺に住んでる外国人に任せたほうがいいんじゃね?」という、雑な提言だ。絵に描いたような本末転倒。もはや「提言」と呼ぶのもおこがましい。この毎日新聞の無責任極まりない書き方から、新聞各紙は本気でこの問題を解決しようという気などさらさら無い、ということがよく分かる。


もうひとつの基本事項とは、そもそも中・高の英語教育で「コミュニケーション能力」なるものが一向に改善されない理由だ。誰もが本当の理由などよく分かっている。はっきり書いてはいないが、読売新聞がそれをちらちら伺わせている。

生徒の英語力を高めるには、教員の指導力向上が不可欠だ。文科省は、公立中学校で英検準1級以上を持つ英語教員の割合を50%にする目標を掲げたが、まだ36%と伸び悩んでいる。教員の自己研鑽が欠かせない。英語のコミュニケーション能力を身につけられるよう、自治体は、研修の態勢を整えるべきだ。
(読売社説)


「英検の準1級も受からない人間が、教壇で英語を教えている」という事実。もはや説明は不要だろう。日本の学校で音声会話に基づく「コミュニケーション能力」なるものが鍛えられない理由は簡単だ。そもそも教える側の教師にその能力がないからだ。教える側ができないのに、習う側ができるようになるはずがない。

現在、教壇に立っている現役世代の英語教師は、「自分たちが生徒の時代に受けた英語教育」と「これからやっていかなければいけない英語教育」が全然違う。必要となる英語能力を身につけていないし、そもそも自分がそういうやり方で教わっていないので、教え方が分からないのだ。

街の英会話学校の講師と違って、学校の教師に必要なのは専門分野の技能だけではない。教員採用試験も、専門技能が高い人を優先的に合格させるようにはできていない。各都道府県の教員採用試験で、専門能力の低い者が不可解な優先合格を受けるのは、もはや公然の事実だろう。

つまり、根本の原因となる「教師が無能だから」を抜本的に改善しようと正論を振りかざすと、いろんな虎の尾を踏んでしまうのだ。僕は個人的に、全英語教師のTOEIC、TOEFL、英検のスコア・資格を公表するべきだと思っている。しかしそんなことを実行しようとしたら、現場は大混乱になり、資格が認められるべきではない不適格英語教員が大量に出てくるだろう。

今回に限らず、「日本の英語教育は」のような話題が出てくるとき、マスコミは本気でその問題を解決しようとは決して思っていない。むしろ解決されては困る場合が多い。しかし学生時代に英語に苦労したのは日本人全員に共通している原体験であり、記事として読者の目を引きやすい。「決して解決しないので、叩くだけ叩ける」「困ったときにはこの話題さえ出しておけば、注目を集められる」という、お得なトピックなのだ。

それが証拠に、同じ議論を何年も何年も繰り返し、提言の内容だけでなく、議論の仕方からして全く変わっていない。変える気が全くない。マスコミの意図通り、これから先も問題提起だけ頻繁に行なわれながら、一向に解決しないままだろう。



マスコミにとって「解決されたら困る問題」のひとつ。
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ペンギン命

takutsubu

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